「ケリーとおもちゃたち」が、子どものみならず大人たちの支持も集めるようになった背景には、韓国のメディア文化が関連していると考えられる。
韓国では従来より、地上波に加えてケーブルテレビチャンネル数が多い。ケーブルテレビチャンネルの内容は、ニュース専門やドラマ専門、子ども向けのアニメ、教育チャンネルのほか、NHKワールドプレミアムやCNNなど外国語チャンネルまで幅広い。その中で多くの世代の支持を集めているのが、「テレビショッピング」のチャンネルだ。
日本ではテレビショッピングといえば、「ジャパネットたかた」がその代名詞とも言えるが、韓国ではショッピングの方法として、実店舗やネットショッピングに加えてテレビショッピングも定着している。このため、「テレビショッピングチャンネル」も多く存在する。そして、その多くがロッテや現代、LGといった財閥系企業が運営しているのも韓国らしい特徴といえよう。
24時間、さまざまなジャンルの商品が取り扱われている中で、進行役がひときわ高いハイテンションで商品を紹介する姿は、滑稽ながらもなぜか消費意欲をそそるものがある。「ケリーとおもちゃたち」もテレビショッピングをモデルにした手法を取り入れたことが視聴者に受け、人気が出たといえる。
「ケリーとおもちゃたち」が火付け役となったことで、テレビでもYouTubeでも同様のコンセプトのプログラムが続々と登場するようになった。
ディズニージュニアチャンネルでは、粘土を用いてディズニーキャラクターなどをお姉さんが作って紹介する「マランマランドウラン」というプログラムが放映されている。やはり、こちらも粘土や工作だけにとどまらず、お姉さんが一人で何役もこなしながらストーリーを進行していく流れになっている。
「ケリーとおもちゃたち」が火付け役となった「ストーリーを作りながら遊ぶ」スタイルの子ども向けプログラムのブームはしばらく続きそうである。
韓国での子ども向け動画サイトの人気を見ると、テレビやスマホのすべてが子どもに悪影響を与えているとは言い切れない部分もあるとともに、やはり、メディアの適切な利用をめぐる教育は欠かせないといえよう。
(編集協力:岡徳之)
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