「DeNAは儲け主義だと言われ反省した」--守安氏と南場氏が改めて謝罪

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は3月13日、同社のキュレーションサービスに関する一連の問題を受け、12月に設置した第三者委員会による調査報告書を受領した。あわせて、第三者委員会およびDeNAによる記者会見が開かれた。


DeNAの記者会見が始まると、同社代表取締役社長兼CEOの守安功氏が謝罪のあいさつをした

 第三者委員会による調査報告によれば、記事37万6671件のサンプル調査から、著作権侵害の可能性がある記事が1.9~5.6%の範囲内で出現することが判明したほか、掲載された画像472万4571枚のうち、74万7643枚は一部個別許諾を取得した可能性があるものの、複製権侵害などの可能性が指摘された。また、医療キュレーションサービス「WELQ」で外部から指摘があった19本の記事のうち、10本が薬機法などに違反することが分かっている。

 同委員会委員長の名取勝也氏は、調査を通した感想として「DeNAがキュレーション事業を手掛けることで、どのような価値をどのような相手に提供するか見えづらかった。また、想定されるリスクや、他者に迷惑をかけてしまうかどうかの認識が十分でなかったし、事業拡大を優先してその部分の配慮も足りなかった。この点は反省すべきだろう」と述べた。


第三者委員会のメンバー

「『DeNAは儲け主義だよね』と言われて本当に辛かった、深く反省した」

 問題発覚後、「DeNAは儲け主義だよね、だからこういうことが起きるんだよ」という声が社外のほか、社内の一部からも上がったという。DeNA代表取締役社長の守安功氏は「この言葉を受けて本当に辛かったし、深く反省した」と述べ、同社代表取締役会長兼執行役員の南場智子氏も「会長としてのチェック体制が十分ではなかった。これを戒め、強い決意を持って守安とともに会社全体の変革に取り組みたい。DeNAが社会での存在を許され、歓迎され、信頼される会社になるように全力で取り組む」とした。


DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏

 守安氏は、今回の問題の本質を3点に集約した。

  • キュレーション事業が本質的にどのような価値を提供できるのか、社会系にどういった意義をもたらすか十分に議論されなかった
  • 事業の定義や理解が曖昧で、DeNAが提供していたサービスが、メディアなのかプラットフォームなのか線引きが曖昧だった。また、実質的にはメディアだったにも関わらず、その責任を理解できておらず、適切に運営されていなかった
  • 問題を早期発見する体制に問題があり、コンプライアンスが徹底されていなかった

 「新しいことに挑戦するのが当社のDNAだが、挑戦の姿勢を強く持つのであれば、責任管理、コンプライアンス、ガバナンスなど足場を強化する必要があった」と守安氏は振り返る。特にコンプライアンス体制は、事業部ごとにばらつきが大きく、第三者委員会からも「ゲーム事業やヘルスケア事業などはしっかりコンプライアンスが機能しているのに、なぜキュレーション事業では機能してないのか」と指摘されるほどだという。

 同社のゲーム事業では、「コンプガチャ」など、これまでコンプライアンス的に問題のある事例がいくつか発生している。ただし、こうした教訓を踏まえ、定期的に法務担当者による法務研究を実施するなど、今では人事部や法務部などのコーポレート部門とともに継続的な法令順守に取り組んでいるという。

 今回の問題を受け、代表取締役に復帰した南場氏と守安氏のツートップ体制に組織を変更。強固なトップマネジメントにより、リスク管理、コンプライアンス情報の一元化、関連部門との連携を強化。問題の根本解決のため、全従業員の徹底的な意識改革をはじめ、ユーザーにどういった価値を提供するのか、それが倫理上正しいことなのか、カスタマーサポートなどに入ったユーザーの声を率先して確認するという。また、新規事業では社外の有識者からのアドバイスを受けるなど、客観的な視点を交えて正しい事業運営ができているか、じっくり議論するとしている。

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