AIの導入により、顧客がいつでも好きな時間にサービスを利用できる。つまり、時間共有が不要のサービスが実現された。これには大きな価値があり、さまざまなメリットも得られる。
それをAI技術の活用などでさらに進めたいとするハウスコムは、3つの新しい試みにチャレンジしている。
住む場所を決めるという行為は、居住地域について判断を下すことと切り離せない。賃貸物件のデータだけでなく、周辺の行政や商店街、居住者層、教育環境、そして鉄道の混雑具合など、多種多様な情報が求められる。
そこで、「キュレーションズ」「マチマチ」といった口コミ情報サイトと連携して生の情報を集め、それをAIでふるいに掛けて価値を高め、顧客へ提供する、といった取り組みを進めていく計画だ。
これは少し意外な施策だが、大量に保有している賃貸物件の契約データのうち、成約した賃料データをオープン化することにも取り組んでいる。
賃貸物件において、募集時に提示する賃料と、家主が顧客と実際に契約する賃料は異なっていることがある。普通は成約賃料など公開しないのだが、これをオープンにするというのだ。
あくまでも試験的な取り組みであり、どのような結果になるか分からない。顧客は、実際の情報に基づいて物件を自分自身で絞り込めるようになる。田村氏の今後の報告が楽しみだ。
3つ目の試みは、会話能力を備えるスマートフォン用仮想ペットアプリ「A.I.PET(アイペット)」だ。賃貸仲介にかかわる情報提供と関係なく、純粋にバーチャルペットとの会話をスマートフォンで楽しめる。
まだまだ会話の内容は稚拙だが、ペットのように顧客と日常的にかかわり、情報をプッシュ提供するのではなく、顧客が膨大な情報の中から何かを見つけられたらよいのではないか、と田村氏は話した。
AIが進化したら、人間の仕事は奪われてしまうのだろうか。この疑問に田村氏は、AIには想像や共感する能力がなく、真の問題を発見することができない、と答えた。
問題が提示されると、AIでも条件にあった提案はできる。しかし、顧客の本心を想像することは無理だという。これができるのは、今のところリアルな営業スタッフだけだ。そこで、AIと営業スタッフの能力を結合させて「究極のプライベート空間」を提供するのが、リアル店舗の役割だそうだ。
ハウスコムにおいて、主役はあくまでも営業スタッフであり、AIは補佐役である。そして、補佐役としての役割を果たしてもらうためにも、AIの会話能力を磨き、顧客コミュニケーション能力を高めていきたい、とまとめた。
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