米国DataRobotは2月28日、日本オフィスを新設し、日本市場でのビジネスを本格始動すると発表した。カントリーマネージャーには、原沢滋氏が就任する。
DataRobotは、エンタープライズ向け機械学習プラットフォームを提供する米国の企業。一般的な機械学習ツールでは機械学習フローをデータサイエンティストが設計するのに対し、DataRobotでは、同社に在籍するトップクラスのデータサイエンティストのナレッジをソフトウェアに組み込み、学習したAIモデルの生成を自動化。実際に業務に携わるビジネスワーカーやビジネスアナリストなど、専門家以外でも高精度なAIモデルを生成できる。
DataRobotに組み込まれる自動化のアルゴリズムは、機械学習の予測精度を競う「Kaggle」というプラットフォームで1位を獲得したデータアナリストたちの知見がベースになっている。どの機械学習モデルを使用し、組み立てると精度が高くなるかを自動で選択する。同社は、2人のデータサイエンティストが2012年に立ち上げた企業であり、最初のプロダクトにはKaggleに参加していたデータサイエンティストが多く関わったという。
DataRobot本社のラジ・ラジウディン氏(ビジネスデベロップメントバイスプレジデント)は、「AIは、企業で蓄積されたデータを価値に変換する最も効果的な手段。マーケティングや営業の最適化、顧客満足度の向上、リスク分散、人事面でも多くの事例がある」という。ただし、「AIでビジネスの変化を起こすには、レベルの高いデータサイエンティストが機械学習を使ってAIを作らないといけないが、需要と比較して人材が不足しており、データサイエンティスト自体のスキルも必要なレベルに達していないケースが多い」という。
また、原沢氏は「ビジネスはすべて予測」とし、誰に、どの程度モノを売るのか、どの人に営業電話をかけると購入してくれそうかなど、ビジネスは予測で動いていると指摘。これまでは、ベテランの経験値やレポートなどを見ながら予測していた領域を、ビッグデータやIoTで得られたデータをもとにAIを使って予測できるようになったという。DataRobotは、一般的な分析ツールと違い、AIを自動作成できるのが大きな強みであり、原沢氏はこのツールをもって「人工知能を民主化する」と述べた。
日本では、リクルートが初めて導入したほか、大阪ガス、パナソニックをはじめ、メディア、金融、銀行、保険といった幅広い業種での導入が決まっているという。リクルートでは、採用人事で使用されており、応募者と仕事のマッチングを図るほか、応募者が辞退する可能性を予測する。ほかにも、営業支援や需要予測などでの用途でも検証を進めているという。大阪ガスでは、IoT化したガス設備から収集したデータをもとに、故障する確率などを予測するために使用するという。
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