オランダに拠点を構える地図サービス会社のHEREは、自動運転やコネクテッドカービジネスを視野に入れた、2017年の事業戦略を発表した。
HEREは、約30年前に米国のシリコンバレーで設立。紙の地図のデジタル化を得意とし、日本では約20年前に事業をスタート。2016年には自動運転時代を見据え、パイオニアとの協業を発表している。
ノキアのグループ会社として長く運営してきたが、2015年に売却され、アウディ、BMW、ダイムラーが株主となった。2016年にはインテル、Tencent、navinfoなどが加わり、 ドイツの自動車会社のほか、中国、米国など、グローバルな企業を株主に持つ。パートナー企業にもパイオニアのほか、マイクロソフトやDJI、NVIDIAなどが名を連ねる。
HEREオートモーティブ事業部APAC市場戦略本部統括本部長のMandali Khalesi(マンダリ・カレシー)氏は「社内では、もともと勤務していたベテラン勢と事業売却により増えた新規参入組みが半々で働いている。今までの地図データを手がけるビジネスを継続しつつ新たな分野に取り組んでいる」とHEREの現状を説明する。
2016年に大きく変化したHEREだが、2017年は「実行の年」と位置づける。プラットフォーム、自動車、IoTの3つに重点を置き、開発を進める。
自動車関連の重点分野は、自動運転時代を見据えた「車載インフォテイメント」、交通情報検索などのサービスに加え、センサ情報を用いて展開するサービスを狙う「コネクテッドカーサービス」、完全自動運転ではなく、一部自動運転になった際に生じる地図情報サービスの必要性などを調査する「高度自動運転」の3つ。
自動運転に関しては、「完全自動運転の世界はまだ少し先の話。今重要なのは、一部自動運転のときにどうなるのか。ここはかなり悩んでいるところで、ビジネスとして集中すべき」(Khalesi氏)と現状の課題を話した。
1月に米国で開催された「CES 2017」で発表した話題についても触れた。中国向けの「HERE Auto SDK」を実現するため、ナビインフォとの合弁事業を計画しており、グローバルで一貫性のある高度自動運転ソリューションを提供するとのこと。インテルとはIoT分野で連携するほか、高度自動運転用HDマップのリアルタイムアップデートをサポートするためのアーキテクチャの開発を目指すという。また、ドローンで知られるDJIとのパートナーシップでは、ドローン操縦者をアシストする地図インターフェース技術を提供。高精度のマップ機能により、正確なナビゲーションで操縦者を常時サポートできるという。
Khalesi氏は「HEREがもともと取り組んでいる部分は集中し、得意ではない分野はパートナーと組んで展開する」と新たな分野への取り組み姿勢を話した。
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