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JASRAC、音楽演奏への徴収方針を改めて強調--「カラオケ著作権管理30年」シンポジウム

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 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は2月9日、東京都内でシンポジウム「カラオケ著作権管理30年」を開催した。

 音楽教室への演奏に関する著作権料の徴収方針で話題を集める中、冒頭で挨拶に立った大橋健三 常務理事(業務本部統括)が「本日のテーマは音楽教室の件ではなく、カラオケ著作権管理の歩みです」と注釈を入れるシーンもあったが、シンポジウムの内容は、現在話題の諸問題に対するJASRACの姿勢を改めて示す形となった。

大橋健三 常務理事
日本音楽著作権協会(JASRAC) 大橋健三 常務理事

 基調講演「カラオケ著作権管理の30年と著作権法の地平の開拓」で登壇したJASRAC顧問弁護士・慶応義塾大学法科大学院客員教授の田中豊氏は、今日のカラオケ著作権管理において重要な役割を果たした規範的行為主体論について、その成立から判例を交えて解説。適法なビジネスモデルを確立するためには、著作物利用者側の正しい理解と協力が必要との考えを示した。

 過去、複数のカラオケ関連訴訟で司法が認めた規範的行為主体論とは、「店舗内での伴奏や客の歌唱などの著作物利用の責任は、店舗の責任者が負う」という考え方。つまり、著作物の使われ方や演奏を聴かせた人数、誰が演奏したのかなどに関わらず、著作物利用によって営業利益をあげた経営者が利用主体となる、というものだ。初のカラオケ判決となる「クラブキャッツアイ事件」をはじめ、多くの判例でこの考え方が用いられている。

 続けて田中氏は、著作権侵害をめぐり放送局とサービス事業者が争った「ロクラクⅡ事件」最高裁判決においても規範的行為主体論が用いられたことを例にとり、「『カラオケ法理』という呼び方で独特な考え方とする学説もあるが、最高裁はすでに『一般的な考え方である』と示している」と強く主張した。

 こうした考え方はJASRACの音楽著作権徴収方針に深く根付いたものであり、教育的観点や公衆の有無、利用者負担増の懸念などを主張する音楽教室経営主体と真っ向から対決する姿勢を改めてうかがわせるものとなった。

浅石理事長「カラオケ管理の歴史的事実から演奏権の未来見える」

 後半のパネルディスカッションでは、浅石道夫理事長のほか、全国カラオケ事業者協会専務理事の片岡史朗氏、全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会理事の町田宏之氏、作詞家でJASRAC正会員のもず唱平氏が登壇。立教大学社会学部メディア社会学科教授・砂川浩慶氏の進行のもと、カラオケ著作権管理30年を振り返った。

パネルディスカッション
パネルディスカッション

 1987年に開始されたカラオケ著作権の管理は当初、管理率30%程度に留まっていたが、2015年段階では91.4%にまで増加。徴収額は約127億円で、全徴収額の11%程度を占めている。

 過去には「真摯な態度、をお互いに大きく超えるような」(浅石氏)やりとりもあったというが、「現在の関係は極めて良好」(町田氏)との言葉通り、管理団体と業界団体が協力した形で、適切なビジネスモデルが形成されているという。実際、カラオケ機器貸し出しとJASRACとの契約が一体型の契約書で行われるなど、両者の確かな協力体制の下で管理が実現している。

 浅石理事長は「カラオケ管理に関しては、本当に長い議論を経て今の形が実現した。そして、こうして現在の形を実現できたという歴史的な事実によって、演奏権管理の未来も見えてくる」とし、先の音楽教室における演奏に対する徴収についての考えを示した。

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