ひとたびの熱は落ち着いたものの、今もカンボジアへの日系企業進出は続いている。現在、カンボジア日本人商工会の正会員数は179社(2017年2月3日時点)。2年前の同時期は約150社であったため、緩やかではあるが増加傾向だ。
IT関連企業ではベンチャーが多く、GPS機能つきの店舗検索アプリを開発した「TAGCAST」、プノンペン郊外のリゾートにIT人材育成大学を設立した起業家など、ユニークな顔ぶれだ。
カンボジア政府は外資誘致に積極的で、全国に経済特区を設けるなどして力を入れている。その対策の1つとして2016年、外国人労働者に必要なワークパーミット(労働許可証)のオンライン申請が導入された。手続きが簡易化され、さぞかし歓迎されているかと思いきや、実際はそうでもないようである。
カンボジアで外国人が働くには、ビジネスビザのほか、ワークパーミットの取得が法律で義務づけられている。「何をいまさら」と言いたくなるほど当たり前のことだが、ほんの2年前まで、ワークパーミットの存在は有名無形化していて、持っている外国人のほうが少なかった。かくいう私も2006年にカンボジアで働き始めた当時、恥ずかしながらその存在すら知らず、会社側も「気にするな」というような風潮であった。
それが変わったのが2015年頃。急に取り締まりが厳しくなり、会社にも役人が頻繁に訪れるようになった。ほどなく申請書とパスポートと証明写真を提出するよう言われ、ついに初めてワークパーミットを作った。すでに9年働いていたので、さかのぼって年額100ドルを9年分、計900ドルの罰金を会社は支払う羽目になった。
同時期より税金の取立てが厳しくなり、外国人のビザ料金も軒並み大幅に上がった。税金は、それまでまともに支払っている企業のほうが少ない状況だったが、今やその数も逆転。国としての根幹整備を始めた年なのかもしれない。
取り締まり強化の成果があったのか、労働省発表によると2014年には4000人程度であったワークパーミット所持者は、2015年には3万6000人まで増加したそうだ。ワークパーミットの「進化」はさらに続き、2016年9月にはオンライン化を導入し、ネット上ですべての申請・更新の手続きをすることとなった。ワークパーミットの更新は年に一度で、申請日に関係なく、毎年1月に更新されるという。
しかし、オンライン化からすでに半年近く経ち、年も明けているのにも関わらず、私のまわりでは「更新した」という話をほとんど聞かない。さらに「更新しようとしたけど、できなかった」と言う人までいる。いったい何が起きているのだろうか。
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