IBMは、千葉大学や京都大学、その他世界各地の大学と研究機関が推進している小児がん治療薬の探索プロジェクト「Smash Childhood Cancer」を支援するため、グリッドコンピューティングサービス「World Community Grid」に演算リソースを提供してくれるボランティアの募集を開始した。
小児がんは、全世界で多くの子どもの命を奪っており、治療薬の登場が期待されている。ただし、「小児がんのがん細胞を抑制する鍵となる分子やタンパク質に作用する候補化合物を見つけ出す研究には、多くの費用と時間が必要」(IBM)だそうだ。
IBMは、世界中のコンピュータから集めた演算リソースを活用するグリッドコンピューティング技術を使い、Smash Childhood Cancerの研究で必要とされる膨大なデータ処理を実行する。
この活動に参加するには、希望者が登録ページで申し込み、自分のコンピュータやAndroidデバイスに専用アプリケーションをインストールすればよい。コンピュータがアイドル状態になると、割り当てられた演算を実施し、結果を自動的にWorld Community Gridへ送信する。これを研究者が分析し、治療薬の探索に活用する流れだ。
Smash Childhood Cancerの責任者は、国際的な小児腫瘍医、分子生物学者であり、佐賀県医療センター好生館の理事長、中川原章氏。同氏は2009年の「Help! Fight Childhood Cancer(ファイト!小児がんプロジェクト)」でも同様の研究アプローチを採用し、神経芽細胞腫の医薬候補同定に成功したという。
Smash Childhood Cancerの活動には、千葉大学と京都大学のほか、香港大学、米国のConnecticut Children's Medical Center、The Jackson Laboratory、コネチカット医科大学(University of Connecticut School of Medicine)から研究者が参加する。
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