DAZNが“座組みを変えて”始める2017年Jリーグ配信--コンセプトは高品質と統一感

 スポーツ専門の映像配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」が、1月22日からJリーグの配信を開始する。今までの座組みを変え、英国プレミアリーグ仕込みのカメラワークを取り入れるという2017年の体制を記者会見で明らかにした。沖縄、宮崎、鹿児島で順次開催する「2017JリーグDAZNニューイヤーカップ」を皮切りに、1月24~26日は、タイラジャマンガラスタジアムで開催する「2017Jリーグアジアチャレンジinタイインターリーグカップ」を全試合ライブ配信。2月には、2017年シーズンの開幕を控える。

左からJリーグ チェアマンの村井満氏、DAZN CEOのジェームズ・ラシュトン氏
左からJリーグ チェアマンの村井満氏、DAZN CEOのジェームズ・ラシュトン氏

 Jリーグの放映権は、DAZNを傘下に持つ英パフォームグループが2016年7月に取得。約2100億円で10年にわたる長期契約を結んでいる。2016年までJリーグの放映権を保有していたスカパー!は、制作者、著作権保有者でもあったが、パフォームグループでは、制作者、著作権はJリーグに委ね、放映権のみを保有。Jリーグが制作した映像をDAZNが配信する。

 配信するのはJ1、2、3リーグの全試合。いずれもライブ配信をするほか、配信後30日間の見逃し配信も用意。シーズン後半には、全試合のゴールシーンや見どころなどハイライトシーンのみを集めたコンテンツもスタートする予定だ。

 Jリーグが制作するため、DAZNで配信する映像はすべて公式映像という位置付け。Jリーグや各チームがSNSや海外配信などで、そのまま使用することも可能だ。番組制作では、DAZNが欧州リーグなどで培ったサッカー番組制作のノウハウでJリーグをサポートする。

 DAZNが目指すのは、高品質と統一感あるJリーグ映像の制作だ。それがJリーグブランドの構築につながると考える。この2つを実現するため、2016年の6カメラ体制に、スーパースロー撮影もできる3カメラを追加。2017年はJ1リーグすべての試合を9カメラ体制で撮影し、統一感ある映像を目指す。J2、3リーグにおいてもリーグごとにカメラ台数を指定し、各種試合を撮影する。

2016年の6カメラ体制から2017年は9カメラ体制に変更する
2016年の6カメラ体制から2017年は9カメラ体制に変更する

 これは英国プレミアリーグの撮影ノウハウを踏襲したもので、フラットに捉えることが多かったJリーグに角度をつけることで、ピッチ内の動きや選手の表情、さらに観客の動きなども記録していくとのこと。カメラの追加に伴い観客席の移動など、Jリーグやチーム、スタジアム側にも協力を得ている。

 すべてのカメラアングルショットは中継車で記録するため、数多くのベストショットを記録できることもポイントの1つ。J1リーグにはより多くのカメラを用いて撮影する「J1拡張プラン」も用意する。

カメラ数の多い「J1拡張プラン」も用意する
カメラ数の多い「J1拡張プラン」も用意する

 DAZNは、2016年8月に日本でのサービスを開始。月額税別価格は1750円で、130以上のスポーツコンテンツと年間6000試合以上を配信する。Jリーグ以外のサッカー、野球、バレーボール、総合格闘技、バスケットボール、テニス、モータースポーツ、アメリカンフットボール、ダーツ、ビリヤード、卓球、ボーリング、フィッシングなどを取り扱う。

 現在、会員数は非公開。DAZN CEOのジェームズ・ラシュトン氏は「Jリーグの配信をスタートすることで、加入者増に非常に期待している。ロンチに向けては2000万ドル規模の投資を考えており、新たなファンを獲得していく」と意気込みを話す。

 その中で注力しているのがテレビからのアクセスだ。DAZNは、スマートフォン、タブレット、PCのほかスマートテレビやゲームからも視聴できるマルチデバイス対応だ。しかしJリーグ チェアマンの村井満氏は「テレビで見られるのかという問い合わせも多い。2月からは一斉にマルチデバイスを使ったデモを実施し、プロモーションをしていく」と話すとおり、テレビ視聴の認知度が低いことは事実。ラシュトン氏は「テレビでの視聴についてはデモなどを実施し、認知を高めていきたい。また、見逃し配信期間も現在は30日間だが、『もっと長く』という声があれば実現に向けて努力していきたい。常にファンの声に耳を傾ける姿勢で取り組んでいく」と今後について話した。

DAZNの視聴画面
DAZNの視聴画面

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