AppleがiPhoneを発表したのは2007年1月9日。今月、発表から10年を迎えた。日本でわれわれがiPhoneを手にするようになったのは2008年7月。第3世代通信に対応し、カメラ機能などを向上させたiPhone 3GSからだった。
現在、年間約2億台を販売し、Appleの売上の6割以上を占めるスマートフォンが歩んできた10年間を振り返る際、筆者が特に注目するのは後半の5年間だ。それはちょうど筆者が米国に拠点を移してからの5年間でもある。
2011年、米国で暮らし始めた際に契約したのはiPhone 4Sだった。3G通信で全米最大のエリアを実現するVerizon Wirelessの契約で1台あたり70ドル、たった2Gバイトのデータ通信が含まれるものだった。
自宅にネット回線やテレビすらない状態で生活を立ち上げなければならない中、iPhoneを契約したことで、多くのことの肩の荷が下りたことに自分でも驚いた。日本にいたときと同じようにGoogleで検索でき、地図で迷子を回避し、日本の友人とのコミュニケーションが、日本にいたときと同じように継続できる。そのとき、iPhoneが筆者の生活の中にどれだけ組み込まれているかに気づかされた。
2012年にiPhone 5が登場し、主要エリアでLTEをサポートした。国土も広く、3G通信インフラでは遅れを取っているかに見えた米国において、一挙に高速通信のエリアが展開され、LTE接続が当たり前の環境が整ったことに驚かされた。
2013年にはiPhone 5sが発売され、モバイル決済機能であるApple Payがスタート。2014年のiPhone 6で大画面化を果たし、ホリデーシーズンの販売台数は7500万台にも達した。同時に中国でハイエンドスマートフォン市場が花開いたことも、Appleの販売台数を後押しした。
この5年間、米国での生活の仕方も変わった。
今では、レストランや公園、病院に至るまでをYelpで見つけ出し、良い体験にありつけるようになった。引っ越した当初はタクシーが使えないことに絶望して車を購入したが、今ではUberやLyftで事足りるとクルマを持たずに生活し始めるかもしれない。また、分単位で雨の降り始めを察知することもできる。
どれも、日本からすれば、驚きは薄いかもしれない。iPhoneが登場する前からタクシーはつかまるし、天気予報も正確で、レストランはたいていおいしい。ついでに、ICカードやケータイで電車に乗ることだってできた。日本のインフラの普及と正確性はいまだに優れていると感じるし、質も高い。
しかしこうしたインフラがない都市における問題解決を、iPhone登場以降、アプリ開発者が5年で一挙に片付けていったという印象を持っている。もちろん、たった5年で都市が変わるわけではない。しかし米国生活とそこでのマインドセットは、確実に変化した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス