“IT時代の三河屋”を目指す--根津に八百屋をオープンさせた野菜ECベンチャーの狙い

 東京都文京区の根津に、1件の八百屋がオープンした。そこには、宮崎県で栽培された有機野菜が所狭しと並べられている。この8坪の八百屋が、地方農家を“ハッピー”にする拠点になるという。

(左から)ベジオベジコ代表取締役社長の平林聡一朗氏と根津にオープンした八百屋の杉本恭佑店長
(左から)ベジオベジコ代表取締役社長の平林聡一朗氏と根津にオープンした八百屋の杉本恭佑店長

 手がけたのは、有機野菜や果物のスムージーで有名なベジオベジコ。同社は本拠地を宮崎に構え、契約した農家が育てた有機野菜を適正価格で仕入れ、独自の配送網で東京まで輸送・販売する垂直統合型のビジネスモデルを持つ。既存のスーパー/ネットスーパーとは異なる利益構造を構築することで、小規模かつニッチなビジネスでも黒字化を狙えるという。

 同社では、八百屋のオープン日である1月13日にあわせて、生鮮食品の宅配サービス「VEGERY」を正式にローンチした。ベジオベジコが取り扱う九州産有機野菜を最短1時間で宅配するサービスで、配達対象エリアは、渋谷区、港区、世田谷区、目黒区の4区。2カ月前からテストローンチを開始し、想定したKPI以上の単価とリピート率を実現している。今回、八百屋のオープンで根津も対象エリアとなる。

 ラインナップは、野菜が65~70品目程度。スムージーやぬか漬けなど加工品が10品目。野菜は宮崎を中心に九州で採れた有機野菜を扱っており、今後は加工品を強化するほか、鮮魚や食肉も扱っていく。最終的には質の良い生鮮食品全般を扱う宅配サービスとして、生鮮宅配における紀ノ国屋や成城石井のようなポジションを目指す。

野菜を入れる木箱は、宮崎県の飫肥杉で作られたものだという
野菜を入れる木箱は、宮崎県の飫肥杉で作られたものだという

 VEGERYは専用アプリから注文する。ブラウザページをなくすことで、一度アプリに注文者情報を登録するだけで、ネットスーパーにありがちな購入時のログインなしに注文できる。また、クリエイティブにもこだわっており、野菜の写真は宮崎の本社で撮影。育てた農家の写真とプロフィールも閲覧できる。農家との直接契約のため、特定の農家の人から継続して野菜を購入することもできる。

 ベジオベジコでは、質の良い商品を適正な価格で提供することをコンセプトにしており、取り扱う野菜も決して安価ではない。提供エリアを絞り、送料(390円)も発生するのにも関わらず、テストローンチでは月に1度注文するユーザーが全体の30%、毎週注文するユーザーは全体の25%に達する。コンバージョン率もECとしては異例の10%を誇り、1回あたりの注文単価も想定の1.7倍から2倍と好調だという。

  • 写真などのクリエイティブには気をつかっているという

  • フリマアプリのUIに近く、スムーズに野菜をカートに追加できる

  • 配達は最短1時間から

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