代表取締役社長の平林聡一朗氏と専務取締役の田村健登氏は、ともに宮崎出身であり、平林氏の祖父が農材屋を、田村氏の実家が農家を営んでおり、生活の近くに農業という存在があったという。
訂正(17時40分)平林氏の経歴に一部誤りがありましたので訂正しました。
平林氏は、「宮崎の農家をハッピーにしたい」という思いから4年前にベジオベジコを設立。当時から宮崎県産の野菜を宅配するECは複数あったものの、野菜を食べないユーザーに宮崎の野菜を食べてもらうきっかけとしてスムージーを考案し、健康・美容方面で売り出したところヒットとなった。
ところが、他社含めスムージーは定期購入がベースで、ユーザーがすぐに購入したい場合や、野菜が余ってしまう、あるいは有機野菜を単品で購入したいというニーズが多くあったという。質の良い野菜を必要な時に届けられる宅配サービスとして、また高齢者や質の良い商品を買う店が周囲にないユーザーの宅配ニーズも考慮し、VEGERYを開始した。
根津に八百屋を出店したのは「はやり廃りに流されたくないから」と平林氏は語る。認知を広げるためには情報感度が高いエリアに出店するのが手っ取り早いものの、平林氏が目指すのは「IT時代の三河屋」だという。
VEGERYも、八百屋のスタッフが配達することでユーザーと顔見知りとなり、「今日はこんな野菜が入りましたよ」というコミュニケーションを含め、懐かしさや親しみやすさを感じられるようにしたいという。こうした背景と10年後もビジネスを続けられる場所として根津を選んだ。
次の店舗については、現状模索中だという。まずは、野菜や加工品の販売をスタートし、食肉、鮮魚と取扱品目を増やしていく。生鮮食品が拡充したタイミングで次の店舗につなげるようだ。生鮮食品の宅配サービスで成功した企業はあまり多くなく、別に大規模の配送センター1カ所から配送するのが良いのか、酒などを販売するカクヤスのように郊外の外れに店舗兼倉庫を構えて配送すべきか、渋谷と根津の状況をみつつ判断したいという。
宅配サービスなどでは、一般的にはスケール拡大を優先し、割引料金や配送料無料でユーザーの母数を増やすケースが多い。VEGERYの場合、ニッチな商品であり適正な料金でも需要があることを掴んでおり、小規模でも黒字化が可能なため、質を優先してスケールを広げていくという。
なお、他のEC事業者が生鮮食品の宅配サービスを開始することを見越して、最短1時間の速配ではなく、翌日配送という形で3月までに都内全域での野菜を宅配する準備を進めているという。
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