NVIDIAの共同創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるJen-Hsun Huang氏は、CES 2017の基調講演で、自動運転車を実現する新型コンピュータ「Xavier」を披露するとともに、同社の自動運転車向けプラットフォームの仕組みについて説明した。
製品発表に加えて、Huang氏は自動車業界におけるNVIDIAの地位を固める新たなパートナーシップも発表した。
「われわれは、すべての車を(人工知能[AI]に)変えたい」とHuang氏は述べた。この目標達成を後押しするものとして、同氏はAudi of Americaのプレジデントを務めるScott Keogh氏を壇上に呼び、高度に自動化されたAudi車を2020年までに実現することを約束するパートナーシップを発表した。
Huang氏は基調講演の中で、NVIDIAは10年にわたって自動運転技術を開発してきたと述べた。Xavierは、これまでの取り組みの延長線上にありながら、NVIDIAによる新世代の車載コンピュータとなる。このコンピュータは自動運転車の頭脳となり、センサからデータを取得して処理し、地図から車の位置を判断し、運転に関する意思決定をする。
システムオンチップ(SoC)のXavierは、ARMの64ビット対応オクタコアプロセッサとNVIDIAの新しいGPUアーキテクチャ「Volta」を使用して、30TOPS(Trillion Operations Per Second:1秒間に1兆回の演算を行える処理能力)の処理能力を発揮する。NVIDIAは、自動運転車に必要な環境評価をする基盤として同社が持つGPUの専門知識を強調している。Huang氏はまた、車が障害物を認識するのに不可欠な機械学習はGPUによって進化したと指摘した。
自動運転車の実現に向けた補助システムとして、Huang氏はNVIDIAの新型プラットフォーム「AI Co-Pilot」について説明した。このシステムは、車の周辺環境を検知するセンサと、車内にあってドライバーを観察するカメラで構成される。AI Co-Pilotによって車は自動運転に必要な多くのセンサや情報が得られるが、それでも人間のドライバーに依存する部分は残る。
AI Co-Pilotは、動きの速いオートバイなど、車の周りにある潜在的脅威についてドライバーに注意を促す。また、ドライバーの視線を追跡することで、ドライバーが見ていない方向にある別の車について警告することもできる。
AI Co-Pilotについてさらに注目すべき機能の1つは読唇能力で、Huang氏によると精度は95%にのぼるという。コンピュータによる読唇は、はるかに正確な音声コマンドにつながる可能性がある。
こうした自動運転技術を実用化するためのパートナーシップとして、Huang氏はNVIDIAがデジタル地図製作会社のHEREおよびゼンリンと協力することを発表した。
また、大手自動車部品サプライヤーのZFとBoschは、NVIDIAの自動運転技術を導入する。ZFはNVIDIAの発表に先立ち、NVIDIAの技術を利用した自動運転プラットフォーム「ZF ProAI」を乗用車やトラックのメーカー各社に提供すると発表した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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