人類が火星に住める日はくるのか--シリコンバレーが主導する新たな宇宙開発競争 - (page 2)

Luke Lancaster (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2017年01月05日 07時00分
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試行錯誤を重ねる

 このような野心的な目標を達成するには、継続的な進歩が必要となる。

 SpaceXにしても、Blue Originにしても、最終的なテーマは、人間や貨物を軌道に打ち上げるロケットを再使用して、宇宙旅行のコストを下げることである。それが当たり前のことになるまでには、数々の試行が必要だろう。


Elon Musk氏
提供:Robyn Beck/Getty Images

 SpaceXが公表した価格リストによると、Falcon 9ロケットの打ち上げには、約6200万ドルのコストが必要だという。参考までに、United Launch Allianceは、同社のロケットの1機を打ち上げるのに必要なコストは、約2億2500万ドルとしている。競合するフランスのAirbus Safran Launchersは同社の新しい「Ariane 6」ロケットのコストについて、約7700万ドルと主張している。

 SpaceXは既に宇宙市場で最安値を実現しているが、同社のプレジデントを務めるGwynne Shotwell氏によると、過去に使用されたFalcon 9を打ち上げることで、コストを30%削減できるという。本稿執筆時点で、SpaceXは2017年1月に宇宙飛行を再開する予定だ。

 Blue Originはどうだろうか。Bezos氏は2016年にArs Technicaに対して、「New Shepard」宇宙船の改修には「数万ドル」のコストがかかる、と語っている。Blue Originの「再使用可能な打ち上げシステム」はFalcon 9よりはるかに小型で、弾道飛行だけが可能だ。

 宇宙探査を促進する非営利組織のThe Planetary Societyで宇宙ポリシー担当ディレクターを務めるCasey Dreier氏は、「再使用に着目したサービスは、まだ誰も提供していない」と話す。

 「NASAはスペースシャトルでは先駆けて再使用性の分野に着手したが、そのコストは高くついた」(Dreier氏)

 NASAはISSへの物資補給に関して、SpaceXに少なくとも3件の契約を与えており、その規模は50億ドルを超える。NASAの広報担当者であるTabatha Thompson氏によると、これまで、民間企業による補給ミッションで5万9000ポンド(約2万6760kg)以上の積荷がISSに届けられたという。

 「NASAは民間の有人宇宙飛行に関して、精力的でかつ利益を生む企業が宇宙開発を可能にする、と展望している」(Thompson氏)

誰も行ったことのない場所へ

 SpaceXにしろ、Blue Originにしろ、どちらの企業も数字を開示していないため、これらの取り組みから利益を得ているのかどうかは定かではない。しかし、SpaceXが2018年の火星着陸船のミッションだけで約3億ドルを投資することに同意したのは、ほぼ間違いないだろう。

 NASAのJim Reuter氏は2016年7月、NASA Advisory Councilの会議でNASAのコストを3200万ドルと見積もった後、SpaceXが「コストを10対1の割合で負担することをわれわれに伝えてきた。SpaceXが10で、われわれが1の比率だ」と述べた。「それは大まかな数字だと私は考えている」(Reuter氏)

 Musk氏はなぜそのような不平等な取り決めに同意するのだろうか。

 SpaceXの創設者の1人で、現在はVector Space SystemsのCEOを務めるJim Cantrell氏は、「Elonは、NASAが火星に着陸させる最初の人間になるだろう。それが彼の望みであることは、私が初めて彼と関わった日から明白だった」と語る。

 Musk氏は、既に確立されている業界や企業群を新たな方向に導いてきた実績を持っている。多くの人がTesla Motorsについて、世界で最も影響力のある自動車メーカーとみなしているのは、自動車業界のほぼ全体が電気自動車を開発するように働きかけたためだ。

 宇宙分野でも、それと同じような構図になりつつある。SpaceXやほかの「民間企業がNASAに対して、もっと迅速に計画と行動を起こし、より積極的に計画を推し進めるよう働きかけている」とDreier氏は言う。

 人間が最後に地球の軌道から抜け出したのは、1972年の「Apollo 17」ミッションのときである。人類は今、それよりもはるか遠くに到達しようとしている。それに大きく貢献しているのが、宇宙飛行の商業化だ。

 「われわれは皆で一緒に火星に行く」(Thompson氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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