USENが目覚ましいスピードで新規事業参入を続けている。iPad向けの多機能レジアプリ「USEN Register」(USENレジ)の拡販をはじめ、東京電力との業務提携による法人向け電力販売への参入。2016年3月には、訪日外国人女性向けのカプセルホテル「NADESHIKO HOTEL」も開業した。
一見すると多岐にわたった事業展開に見えるが、その根幹にあるのは“音楽配信”と“店舗向け”というUSENの屋台骨が確固たるベースになっている。
「BtoB領域で勝負していく」と宣言した社長就任から3年。USEN代表取締役社長である田村公正氏に、事業の選択と集中の仕方、また働き方改革までを聞いた。
USENは、音楽配信、店舗向けICTソリューション、集客支援と子会社であるアルメックスが手掛ける自動精算機などの業務用システムという大きく4つのカテゴリを運営しています。その中で、いくつか新しいチャレンジをしようと思っていて、2016年春には電力自由化に合わせて、店舗向けの電力ビジネスを東京電力との提携によりスタートしました。それともう1つ、店舗向けビジネスとして12月にスタートしたのが「canaeru(カナエル)」です。
USENは、音楽配信サービスの提供という形で長く店舗向けビジネスに取り組んできましたが、実は音楽配信の導入を考えるのは、お店がほぼ出来上がった段階、もしくは完成後なんですね。しかし実際に開業するまでには、多くの時間がかかりますし、初期段階では開業資金の調達、テナント探し、店舗の内装、設備から人材確保まで、やるべきことがたくさんあります。
canaeruはそうした店舗開業、経営のサポートサイトとして、開業の早いタイミングから店舗に関わっていきたいという思いから開始しました。この体制が整うと、開業を決意した瞬間から開業準備、運営など店舗へのトータルソリューションが可能になります。実際に資金調達などの相談も受け付けますが、ここはすべて無料で請け負う予定です。
一部、中小のチェーン店なども想定していますが、USEN約50年の歴史の中で、大きく変わったことの1つは商業施設の規模と場所なんですね。今、ロードサイドの大型店舗が一般的ですが、以前は街中、駅前の商店街が中心でした。私たちは、こうした店舗の方たちにご支持いただいて、音楽配信事業の歴史を紡いできましたから、こうした店舗を応援したいという思いは強くあります。
また、東京にいると感じにくいかもしれませんが、シャッター商店街の存在は地方の大きな課題になっています。地方創生とあわせ、この問題にUSENとして取り組んでいきたい。例えば、地元に戻って店舗を開業したいと思う方がいても、意外と相談しに行く場所がわからないというケースがあるんです。canaeruはそうした方たちの一助にもなり得ると思っています。
それとともに店舗のICT化を推進していきます。例えば、POSレジは売上管理だけではなく、お客様の来店頻度、購入内容などの情報が詰まった、いわばお店の心臓部です。レジというと、大きく高価で買い替えもしづらいイメージですが、USENレジは、iPadを活用でき、導入も簡単です。将来的には各テーブルから食べ物などをオーダーできる、テーブルトップオーダー(TTO)と連携させることも考えています。
一見すると、手間暇がかかりそうなシステムですが、そこをわかりやすいサポート付きで導入します。インターネットの導入からワンストップでレジ、セキュリティカメラ、スマート決済と現在複数の企業がかかわっている部分をUSEN1社にワンストップで頼むことで、すべてを連携し、わかりやすくサポートする。そんな未来像を描いています。
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