ただ、音楽配信のイメージが強いので、そこに隣接するレジやエネルギー周りのサービスに取り組んでいても、気づかれにくいというデメリットがあります。営業の担当者も「USENでそんなことをやっていたんだ」と言われることが多いと聞きますし、今後はブランディングも含めて、新しいイメージを根付かせていく必要があると感じています。
プロモーションももちろん考えていますが、USENの強みは営業担当者が地上戦で広げてきた地盤です。現在、営業は全国に約1000人いますから、1人が1日5件のアポイントがとれれば、1日に5000件のリーチができます。そういう地道な努力は必要だと思っています。
やはり、地域に根付いた地道な顧客管理を継続出来ているからではないでしょうか。昔ほどではないかもしれませんが、営業やエンジニアが街を歩けば「USENさん」ではなく「●●さん!」と担当者の名前で呼んでもらえるような、そんな関係を構築する意識を社員全員が持ってくれていると思います。ここ数年はITツールも導入し、店舗情報は常に更新することを心がけています。
営業周りの際に工事現場を見かければ、地図上にマークを付けておき、店舗の業態がわかれば情報をアップデートするなど、日々の積み重ねで店舗情報を集めています。この作業も1人が行うのではなく、見かけた人間がその都度アップデートを加えるなど、連携をとることで、全体の営業につながっています。
USENには約800人のエンジニアがいて、営業と連携しながら取り付けや保守を担当しています。この規模とカバー範囲は、おそらく全国で見ても唯一無二のネットワークでしょう。保守体制は、今取り組んでいるUSENレジなどにも対応していて、24時間体制のコールセンターや駆け付けサービスなども実施しています。
ここまでの保守体制を敷くことができるのは、USENだけだと思っていますし、ここが他社の参入障壁になっているはずですから、アドバンテージとして捉えています。
USEN自体は、過去にコンテンツビジネスなど多角化経営に踏み込んだ時期もありました。それがいい時もあれば、そうでない時もあった。
音楽配信ビジネスは私たちにとっての礎で、これがあるからこそ、今のUSENがあります。現在、店舗向け音楽配信ビジネスの売り上げは横ばいで、減りこそしないものの、増えてもいない。ただ一定の利益は出ていますから、これを維持し、原資にして新たなビジネスに投資していくことが今は必要です。
その中で、どこにフォーカスし、選択と集中をするとかいったら、USENの強みが生かせるBtoB領域だと考えました。ここがブレてしまうと、成長にはつながらないと思います。まだ、成功しているとは思っていませんし、音楽配信に並ぶ、新たなNo.1サービスを作り、育てていくことが最重要課題です。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス