米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、運転中に気を散らすアプリをブロックする「ドライバーモード」を提供するようスマートフォンメーカーに求めた。交通死亡事故の急増に歯止めをかける計画だ。
NHTSAは米国時間11月23日、自主的なガイドラインを公表した。これは、Appleやサムスンのようなメーカーが、運転手を散漫にさせるアプリやコンテンツを自動的にブロックできるように製品を設計する際の目安になることを意図したものだ。
このガイドラインにはスマートフォン用のドライバーモードが含まれる。New York Times(NYT)の報道によると、これは簡潔なユーザーインターフェースを提供して、車が走行中に一部のアプリをブロックするものになる可能性がある。また、ドライバーが使用中であることを検知する機能がスマートフォンに搭載されることになる可能性もあるという。運転者か同乗者かを判別することで、同乗者のデバイスまでブロックされないようにするためだ。
NHTSAは11月中旬、2016年上半期に高速道路で1万7775件の死亡事故が起き、2015年同時期と比較して10.4%増加したことを明らかにした。2015年はまた、過去50年で年間死亡事故が最も急増した年となった。
NHTSAと米運輸省が長年の目標としているのは、各州が運転中のスマートフォン使用を禁止することだ。その目標に向けて努力を続けるなか、ドライバーモード導入の提言は、運転手の散漫を起因とする死亡事故という「危機」に取り組む近道となり得る。
大半のデバイスに加速度計とGPS機能があることを考慮すれば、提言の一部の要素を達成することは、技術的に難しくないように思える。
NYTは、「Pokemon GO」が最近、デバイスが一定の速度以上で移動している場合、動作を停止させるようアップデートしたことに言及している。開発元のNianticは、運転者が走行中に同ゲームをプレイしていたことが原因で複数の事故が起きたことを受け、この変更を加えた。
交通事故に関連して、「Snapchat」もまた、同アプリで撮影する動画にレーシングカー風の速度計を重ねて、ユーザーがいかに高速で運転しているかを示すスピードフィルタで物議をかもしている。10月には、時速115マイル(時速185キロ)で走る車の中でユーザーがSnapchatの動画を撮影し、直後に5人が死亡する事故が起きた。
NHTSAの提案は、Snapchatの利用規約より効果的かもしれない。同規約ではユーザーに対して、「道路交通法等の遵守に集中できなくなるような方法で本サービスをご利用になるのは危険ですのでお止めください。危険ですので、運転中には絶対にスナップを撮影しないでください」と警告している。
一方NHTSAの提案は、スマートフォンなどの機器のメーカー間の連携、アフターマーケットのインフォテインメントシステム、自動車メーカーによってインストールされたシステムも対象としている。
ドライバーのスマートフォンを車載システムとペアリングすることで、ロックアウト機能が有効になり、運転と無関係な動画、一部の画像、自動スクロールテキストがスマートフォンに表示されなくなる可能性がある。
さらに、メッセージやブラウザの使用のほか、広告やソーシャルメディア、書籍など、テキストベースのあらゆる情報の表示もブロックされるかもしれない。この目標を支援するため、規制当局はあらゆる関係各所への働きかけも行っており、端末と車載システムを簡単かつ迅速にペアリングできるようにすることを求めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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