シャープ、2017年度通期黒字化目指し“オールシャープ”の総合力で挑む - (page 3)

国内拠点を再編するが「人のレイオフはしない」

 一方、戴社長は、「2017年度に最終黒字化するには、いまの事業をしっかりやっていくことが大切。IoTは、OneSHARPによって達成できるものであり、白物家電、テレビ、ソーラー、ディスプレイ、センサ、デバイス、ソフトウェアなどさまざまな製品が組み合わさることになる。鴻海グループとも協業ができる分野。また、白物家電も新たな商品開発ができる分野であり、成長が見込める」と発言。

 ディスプレイ事業の黒字化については、「いつ黒字化できるかは言えないが、自信を持っている。差別化でき、有利なところをもっと発展させ、経営の観点からもチェックにいく。シャープのディスプレイ技術は世界一であるが、改善すべきところはまだまだある。コストダウンができ、さらに効率を高められる」と述べた。

 また、有機ELについては、「シャープは有機ELの優れた技術を持っているが、私は有機ELの市場性はまだ評価していない。成功するかわからない。だが、試作してみないとわからない。それが成功してから考えたい。有機ELについての協業や顧客先については、一切決まっていない」と回答した。

 シャープが持つ仕組みについてもメスを入れる姿勢を示し、「カンパニー同士がお互いに競争することはいいが、それぞれのカンパニーが、各国に販売会社、工場、サービス会社などを持っている。5つのカンパニーごとに、3~4つの拠点があり、これが10カ国あれば、それだけで200社の子会社が存在し、管理できない状況にある。

 表面実装機を買いたい事業部がある一方、ほかの事業部では余っている。それなのに新たなものを購入する。多くの経費がかかっており、削減できる部分は多い」としたほか、鴻海グループとのシナジー効果としては、「シャープの物流会社は専業ではなかったため、コストが高かった。これを分離して、鴻海精密工業の仕組みを利用することにした。世界一のEMSである鴻海の物流コストは低い。白物家電とテレビだけで、半年間で20億円のコスト削減ができた。今後、扱う製品の幅を広げることでさらなるコストダウンができる」と述べた。


経営資源の最適化

 また、「国内拠点の再編については、いろいろと考えている」と発言。「だが、人のレイオフはしない。私はこれまでに人員削減の話をしたことがない」などとした。

 さらに、現在兼務している鴻海精密工業の副総裁を12月にも辞任し、シャープの社長としての仕事に専念する姿勢も明らかにした。

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