Uber Technologiesが先週、98ページに及ぶ白書を公開するとともに、最高製品責任者のJeff Holden氏がMediumに記事を投稿し、オンデマンドの都市航空輸送に関するUberのビジョン「Uber Elevate」について説明した。
基本的な考え方は、「VTOL」(Vertical Take-Off and Landing:垂直離着陸機)と呼ばれる小型の電気航空機のネットワークを構築することだ。VTOLはヘリコプターのようにホバリングしたり、垂直に離着陸したりできるが、ヘリコプターよりはるかに効率的であるだけでなく、静かで安価だ。幹線道路も走れるという意味では真の空飛ぶ乗り物ではないかもしれないが、Uberは郊外から通勤や、街中の移動といった用途を想定している。今日ほとんどの人が車を使う場面で、空を飛ぶことが可能になると思えばいい。
Uberはまた、ライドシェアリング(というよりフライトシェアリング)を、空飛ぶ乗り物を軌道に乗せる手段とも考えている。
Uberの計画は、空飛ぶ乗り物を大衆にもたらす技術だけでなく、この計画を実現しうる経済的側面にも焦点を当てている。
Holden氏は、「長期的に見てVTOLは、大衆にとって手頃な形の日常的交通手段になるだろう。しかも、車を所有するよりも安価で済む」として、次のように書いている。「ライドシェアリングサービスが始まれば、肯定的なフィードバックが続くことにより、いずれはすべてのユーザーにとってコストが下がり、そうなれば料金も下がるはずだ。(中略)論理的に見れば、シェアリングによって利用率も高まり、料金が下がるほど多くの需要が喚起される。そのため必要な航空機の量が増え、それに伴って製造コストも抑えられる」
Uberはライドシェアリングモデルを利用して、通勤や通学を文字通り次の段階に引き上げたいと考えている。
同社が提案したビジネスモデル以外にも、VTOL技術については概念実証がなされており、複数の企業や米国防高等研究計画局(DARPA)、米航空宇宙局(NASA)などが独自のモデルに取り組んでいる。
Uberの計画では、成功を阻むいくつかの大きな障害への対処にも言及している。まず、これらの新しい乗り物は米政府の規制当局による認証を受けなければならない。Uberが掲げている認証までの10カ年計画では、都市における最初の飛行とテストを2025年頃に行うことを想定している。
バッテリ技術、都市で離着陸するためのインフラ、パイロットの訓練、航空管制手段は、このアイデアを成功させるために今後数年間で解決する必要があるとUberが述べている問題のごく一部にすぎない。
空飛ぶ乗り物によるカーシェアリングネットワークに関する長期的ビジョンの中で、Uberが有用なイノベーションだとみているのは、同社が今まさに地上でテストしている取り組み、すなわち自律走行車だ。
Uberの構想どおりに進めば、うまくするとわれわれは今後10年以内に自動飛行する乗り物で通勤や通学ができるようになるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス