ミャンマー人は、占いやまじないのたぐいが大好き。そのため、ネット普及とともに2014年頃から広まったFacebookにも、占いページが次々と誕生した。日々の食事や旅先のショットなどをアップする、日本のタレントのような有名占い師のページもそれなりに注目されているが、人気が高いのはやはり実践的なページだ。
60万人近くが「いいね!」を押しているベディンワーダナーオーは、直訳すると「占いに興味のある人」という意味。主催者は占い好きの一般人だが、いろいろな雑誌や新聞、本などで紹介された占いを広く収集、紹介している。
たとえば、雑誌の人気占い師のコーナーからの引用として、水曜午後に生まれた人の10月の運勢を下記のように書き写している。
こちらは、ミャンマーヨーヤーベディンピェンニャーヤッ。ビルマ語で「ミャンマーの伝統的&学術的占い」を意味している。あまり著名ではない占い師によるものだが、実際に使えるまじないを多く紹介しており、更新頻度は低いが人気は高い。
たとえば、子どもを授かるまじないとして紹介しているのがこちら。
「瓜の表面に、生まれ曜日に合った呪文を書き、赤い布に包む。それを夫婦の間に赤ん坊のように置いて眠り、翌朝、川へ流しましょう」とある。
ミャンマーヨーヤーベディンピェンニャーヤッの場合、ページを主宰する占い師が考案したであろうまじないもあるが、占い本からの引用も散見される。先に紹介したベディンワーダナーオーはいわずもがな。紹介している占いはすべて、雑誌や新聞からの引用だ。
ミャンマーで隆盛を誇るFacebookにおいて、こうした情報スクラップともいえるページはさまざまな分野にわたって数多く開かれ、人気も高い。しかし、著作権に対する認識がきわめて低く、先進国なら大きな問題になりそうだ。この状況には、著作権意識とは別の、ミャンマーならではの事情も影響していると考えられる。
ミャンマーは長い軍政下でインターネットの普及が大きく立ち遅れ、2年ほど前にやっとスマホとともに普及し始めた。そのため、ウェブサイト文化はほぼないに等しい。一方で、識字率が高く、新聞や雑誌が庶民に広く流通し、紙媒体の情報は豊富だ。そのため、ウェブのリンクを張るのではなく、紙媒体情報の転載となってしまうのだろう。
今後、ウェブ文化が浸透すれば、情報源としてリンクを張る方向に進むのかもしれない。しかし、その頃には、Facebookが下火になっている可能性もある。
いずれにせよ、世界の多くの国々とはまったく異なる発展の仕方を余儀なくされたミャンマーのネット文化の行方には、目が離せない面白さがあるといえる。
(編集協力:岡徳之)
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