米航空宇宙局(NASA)が1977年に打ち上げた惑星探査機「Voyager(ボイジャー)」をご存じだろうか。地球から旅立った1号は木星と土星、2号はそれに加え天王星と海王星を訪れ、人類が初めて目にする惑星の姿をとらえ、数多くの新発見をした。
1号は2012年8月に太陽系を脱出した初の人工物体となり、今も恒星間飛行を続けている。一方、2号は太陽系の外周近辺を飛行中で、1号と同じく太陽系を出る予定だ。遠い未来、ボイジャーは地球外知的生物に回収される可能性がある。そのため、両ボイジャーには、地球人からのメッセージを記録した金のレコード「The sounds of Earth(地球の音)」が搭載されている。
ボイジャーが2017年に打ち上げ40周年を迎えることから、クラウドファンディングサービス「Kickstarter」で同レコードの限定複製品「Voyager Golden Record: 40th Anniversary Edition」を提供するキャンペーンが開始された。
ボイジャーに搭載されたThe sounds of Earthは、金メッキされた銅板のレコード。複製品のVoyager Golden Recordは、透明感のある金色をしており、素材は通常のレコードと同じ塩化ビニール。
3枚のレコードには、同じ音楽、環境音、スピーチなど、本物と同じ2時間弱の音声データが記録されている。さらに、レコード盤には音声データだけでなく、地球に関するさまざまな画像データも納められた。
選ばれた音楽は、バッハやモーツァルト、ベートーベンの名曲だけでなく、チャック・ベリーのロックンロール「Johnny B. Goode」、尺八の演奏「鶴の巣篭もり」、アボリジニの歌「Morning Star」など幅広い。鳥のさえずり、鉄道の走行音、赤ん坊の泣き声、クジラの歌など、地球で聴かれる音も収録された。詩の朗読、55種類の言語によるあいさつも入っている。
本物のレコードは、アルミニウム製ジャケットに入れられている。ジャケットの表面には、銀河系における地球の位置、レコードの再生方法などを説明した図がエッチングされている。複製品は、同じ図を収納箱にプリントした。
複製品ボックスには、ボイジャーが撮影した見事な惑星の写真、ボイジャー計画の歴史などをまとめた書籍が含まれる。そして、レコードと同じ音声をMP3またはFLAC形式でダウンロードするためのコードも付属する。
Kickstarterでの支援受付期間は日本時間10月21日まで。記事執筆時点(日本時間9月27日11時)でキャンペーン期間は24日残っているが、すでに目標金額19万8000ドルの3倍を超える約63万2000ドルの資金を集めている。
なお、キャンペーンが1カ月弱で終了するのに対し、ボイジャー1号がほかの恒星に近づくのは約4万年後だ。近づくといっても、きりん座の「AC+79-388」という恒星との距離は1.6光年もある。果たして、知的生物に回収してもらえるだろうか。人類は、レコードを聴いた宇宙人からのメッセージを受け取れるだろうか。
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