小惑星帯の天体において、水蒸気の存在が初めて確認された。このことは、準惑星ケレスに大気が存在し、地表が氷で覆われていることを示す決定的証拠となる。科学者の主張では、仮にその氷が解けると、直径590マイル(約950km)ほどのこの小惑星に存在する水の量は、地球全体の水の量を上回る可能性があるとしている。
米国時間1月22日に科学雑誌「Nature」に掲載された今回の発見は、欧州宇宙機関(ESA)でHerschelミッションを担当するチームによるもの。このミッションは、同名の赤外線望遠鏡(宇宙空間に打ち上げられた天体望遠鏡としては大きさと性能が過去最大級だ)を用いることで、宇宙やそれを構成するさまざまな天体の進化についての科学者による研究を支援するものだ。またHerschelは、米航空宇宙局(NASA)による同時進行中のプロジェクトに貢献する上でも極めて重要な役割を持つ。これらのプロジェクトとは、すなわち、まさに今、ケレスに向かって飛行中の宇宙探査機Dawnを観測するミッションだ。
NASAのJet Propulsion LaboratoryでDawn担当の副主任調査官を務めるCarol Raymond氏は、今回の発見について声明で次のように述べている。「われわれは宇宙探査機をケレスに向けて軌道に乗せたところであり、今回の興味深い結果について、発信源である探査機自体から直接、さらに多くの情報が得られるまでに長くはかからないだろう。Dawnは、(ケレスの)地表の地質と化学的性質を表した高解像度のマップを作成し、ガス放出活動を促進させるプロセスを解明する予定だ」
科学者らは長い間、ケレスの地表には水や氷のほか、さまざまなミネラルが含まれていると考えてきた。かつて大きな小惑星として知られていたケレスは1801年に最初に発見され、その大きさが巨大であることから、2006年になって準惑星に格上げされている。22日に発表された調査結果で、そのことがついに裏付けられた。Natureに掲載された論文の主執筆者であり、スペインのESA会員であるMichael Kuppers氏は、「小惑星帯にあるケレスや他の天体において、水蒸気がはっきりと観測されたのは今回が初めてのことだ」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」