FeliCaへの対応は事前に搭載が噂されていたものの、想像以上に“日本スペシャル”な対応が取材から明らかになってきた。FeliCa機能はiPhone 7および同日発表されたGPS内蔵の新機種「Apple Watch Series 2」に搭載される。が、実はFeliCaを内蔵する製品は日本市場に出荷されるiPhone 7とApple Watch Series 2のみ。たとえば香港バージョンなどを海外から持ち込んでも、FeliCaは使えない。
Appleによると、新たにApple Payに対応可能となった日本のサービスは、プリペイド決済のSuica(および互換性のある交通系支払システム)に対応するほか、クレジットカード決済のiD、QUICPayなどがある。Suicaに関してはプリペイドということもあり、従来のApple Payのように支払機能を呼び出す必要がなく、そのままセンサ部にかざすだけで通過できるよう仕様変更が施されている(iDやQUICPayではTouchIDなどでの認証が必要)。
JR東日本の改札通過において、携帯電話搭載のFeliCa機能──いわゆるおサイフケータイはかつて4割を越えたこともあったが、現在は2割以下まで利用率が下がってきていた。
なお、いわゆる従来の枠組みにおける“おサイフケータイ”とは別の枠組みで、Apple Payの枠組みにFeliCaを通じて他サービスが乗り入れる形となっているようだ。このため、おサイフケータイ向けサービスのすべてがiPhone 7にただちに対応するわけではなく、またモバイルSuicaが持つ機能すべてをAppleがサポートするわけではない。なぜならApple Payを通じての決済になるため、定期券やグリーン券、新幹線指定券の購入などモバイルSuica特有の機能は利用できないからだ。しかし、それらFeliCaを用いた独自のアプリケーションに関しては、iOS用のモバイルSuicaアプリを提供することで、同等レベルになる見込み。
なお、FeliCaではNFC Type Fという技術が決済に用いられる。日本向けのiPhone 7およびApple Watch series 2には欧米で用いられているNFC Type A/Bも搭載されているが、内部でリージョンコード(使用地域番号)を切り替える必要があるとのことだ。
欧米でApple Payによる支払をするには、リージョンコードを日本以外に切り替えた上で、現地発行のクレジットカードを登録する必要がある。
モバイルSuicaによる決済も同様に、一時は4割以上まで増加していたが、現在は2割以下にまで落ち込んでいるという。iPhoneのFeliCa対応は、まるまる“おサイフケータイ”の移植ではないものの、ほぼユーザーのニーズをカバーできている。これまで「iPhoneでは無理」と思われてきたAndroidスマートフォン固有の機能が搭載されたことで、日本市場におけるiPhone寡占がさらに進むことになるかもしれない。
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