だが、それは偽のネットワークで、意図的に紛らわしい名前でユーザーを騙して接続させようとしているのかもしれない。その場合、犯人に操作を監視されているうちに、パスワードなどの重要な情報が盗まれてしまう。たとえば、本当のネットワーク名が「Chain Hotel Guest Wi-Fi」だとして、「Chain Hotel Wi-Fi」に間違ってアクセスさせるだけという手軽さだ。
どうすれば区別できるのか。幸い、答えは目の前にある。ホテルにチェックインしたら、本物のWi-Fiネットワークの正確な名前を確認すればいい。たいていは、客室に置いてあるカードかホテル案内に印刷されている。疑問がある場合は、ホテルのフロントで確かめよう。
Naraine氏は、オンラインショッピングのときや個人情報を送信するときのように、慎重な取り扱いが必要な場合には、スマートフォンでのテザリングも薦めている。「料金的に負担にならなければ、間違いなく(テザリングが)最も適切だ」と同氏は言う。ただし、海外旅行中のテザリングは、極めて高額な料金がかかる場合や、そもそも利用できない場合もあるので注意が必要だ。
ホテルや公共のWi-Fiしか利用できない場合は、「WhatsApp」「Telegram」「Wickr」「Threema」など、暗号化されたメッセージアプリを使用するのが、第2の自衛策となる。
物理的には最も安全で、多くの旅行者が訪れる場所が、データにとっては最も危険な場所ということもある。空港の保安ゲートは、最近ではペットボトルの水をこっそり持ち込むのも不可能に近いが、オンラインパスワードなどの機密情報を盗み持ったまま通過するのは造作もない。
ゲートの前で待っている旅行者の多くは、まず空港のWi-Fiにログインして電子メールをチェックしようとする。「実際に当社の研究員が実験をしたことがある。空港の片隅に座って、旅行者の手元のキーボードを撮影する。これをスロー再生すれば、ユーザー名もパスワードも、空港ではあきれるほど簡単に入手できる。なにしろ、空港では誰もがカメラを持っていて、誰もがあちこちで(写真を)撮っているからだ」(Naraine氏)
とはいえ、データに迫る危険がすべてハイテクから生まれるわけではない。なかでも狙われやすいのは、空の旅で最もアナログな部分、すなわち紙に印刷された昔ながらの搭乗券だ。
Naraine氏は、紙の搭乗券をいっさい使わないよう推奨している。マイレージのアカウント番号や、日付と目的地を含む旅程表など、重要な可能性のある個人情報が大量に記載されていることが多いからだ(同じ理由で、搭乗券の写真をソーシャルメディアに投稿するのもよくない)。代わりに、航空会社のアプリを使ってチェックインしよう。「紙の搭乗券を使わざるを得ない場合は、破棄するべきだ。前座席の背面に差したまま忘れたり、落としたりしないように注意してほしい。些細なことだが、それが大きな問題を引き起こすものだ」(Naraine氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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