マサチューセッツ工科大学(MIT)とシンガポール工科デザイン大学(SUTD)の研究チームが、温度に応じて形の変わる物体を3Dプリンタで作ることに成功した。飲み薬のカプセル、ロボットのアクチュエータ、人工筋肉、ウェアラブルデバイス、宇宙船の建材などに応用できる可能性があるとしている。
形状記憶性を備えるポリマーは、低温で硬いアモルファス状態と、高温で柔らかいゴム状態という2つの状態を行き来する。室温で曲げたり伸ばしたりすると変化した形状を保つが、適当な温度に加熱すると元の形に戻ってしまう。つまり、元の形状を記憶しているわけだ。
研究チームは、光に反応して硬化する樹脂と形状記憶ポリマーを組み合わせ、光造形法を用いる3Dプリント技術で形状記憶性のある部品を成形した。この部品は引っ張ると元のサイズの3倍まで壊れることなく伸び、伸びた形状を保つ。この状態でセ氏40度から180度の熱を加えると、元の形に数秒で戻るそうだ。
形状記憶物体の応用例を示すため、温度で変形して小さなネジなどをつかめる部品や、曲げても形が元に戻るエッフェル塔の模型などを作った。研究チームは、人間の体温程度のより低い温度で反応する物質を探すという。
実用化できれば、太陽を自動追尾して向きを変える太陽電池パネル、発熱すると口を開けて薬剤を出す医薬品用カプセルのほか、ロボットなどに応用できると見込む。
なお、3Dプリンタでこうした動きのある物体を作る技術は、縦横奥行きの3次元に時間軸というもう1次元を付加することから、4次元(4D)プリントと呼ばれる。
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