iOS 10では、Apple Pay決済が、店頭とアプリ内のみならずウェブサイトにも拡大する。
iPhoneやiPadからアクセスしているウェブサイトがApple Payに対応している場合、それを示す黒いボタンを押すだけでTouch IDでの認証が行われ、購入代金の決済とApple Payに登録されている自宅住所の情報がECサイトに送られる仕組みだ。
筆者は、米国でも信頼感のあるブランドのオンラインショッピングでのスキミング被害の経験がある。Apple Pay経由での決済は、手軽さ以上に安心感を与えてくれる。
また、ウェブでのApple Pay決済は、macOS Sierraでも利用する事ができるようになった。MacのSafariで、Apple Payボタンを押すと、iPhoneやApple Watchでの認証画面が表示され、決済を済ませられる仕組みだ。
今後、MacにもTouch IDが搭載される可能性があり、そうするとMac自体がApple Payをサポートする可能性はある。
さて、WWDC 2016でのアナウンスや、プレビュー版のiOS 10の試用では気づけなかったが、Bloombergは、次期iPhone 7に、日本でのモバイル決済機能がサポートされると報じた。
これまでのiPhoneには、オランダNXP Semiconductors(旧フィリップス半導体部門、米Freescale Semiconductorを吸収合併)が製造するNXP 66V10というNFCコントローラが搭載されてきた。
これまでグローバルではNFC type Aとtype Bをサポートしてきたが、JR東日本によるNFC Forumでの働きかけにより、今後発売されるGSMA準拠のスマートフォンに、NFC type F、すなわち日本で利用されているFeliCaが含まれるようになった。
FeliCaは、東京の混雑する駅の改札、すなわち1分間に60人が通過できるようにするための処理速度(0.2秒)を要件としてきた。海外からすれば、オーバースペックとして、FeliCaのグローバルな規格への採用が先送りされてきた経緯がある。
今後、新しいグローバル向けNFCコントローラでNFC type Fをサポートすれば、たとえば日本におけるモバイルSuicaをiPhoneがサポートすることが「ハードウェアとして」可能になる。そのため、日本のコンビニなどのデバイスを刷新しなくても、iPhoneでの電子マネー決済の道が開ける。
ただし、ソフトウェアとしてどのように実装するかは課題として残る。
iPhoneの決済機能として採用されているのはApple Payだが、この処理にはiPhoneではTouch ID認証、Apple Watchではサイドボタンの2度押しが必要となる。店頭での決済では大きな問題にならないかもしれないが、改札の通過に指紋認証の利用はふさわしくないだろう。
タッチするだけで通過する新たなWalletの機能をAppleが追加するのか。あるいはあくまでセキュリティを重視し、既存のApple Payの枠に当てはめて実装とするのか。答えは間もなく明らかになりそうだ。
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