少年ジャンプ+では現在、大きく3つの目標を掲げていると細野氏は話す。まず1つ目が、「紙とデジタルの垣根をなくし才能を育てること」だ。その初の事例となるのが、8月1日に発売された少年ジャンプ本誌で連載が始まった「約束のネバーランド」。もともと、少年ジャンプ+で読み切り「ポピィの願い」を掲載していた白井カイウさんと、出水ぽすかさんの最新作が、本誌での新連載を勝ち取った。同社では今後もこうした作品を増やしていきたい考えだ。
そして2つ目が、「デジタルから話題作を出すこと」。こちらについては、前述したとおり「ファイアパンチ」や「終末のハーレム」など、デジタルならではのヒット作が徐々に増えてきている。そして、3つ目が「デジタルで展開してきた作品が、紙など他のメディアに波及してヒットすること」。「とんかつDJアゲ太郎」などはその最たる例といえるだろう。細野氏はこれら3つの目標について、「考えていることの6~7割は実現できている」と手ごたえを語る。
少年ジャンプ+では、作家の発掘にも力を入れており、プロ・アマ問わずウェブで漫画作品を“持ち込める”「少年ジャンプルーキー」を展開している。投稿された漫画は少年ジャンプ+のアプリ内で一斉に公開され、すべてのユーザーが閲覧可能。編集部の目に留まった作品はスカウトを受け、優秀作品は少年ジャンプ+のメイン枠や本誌などに“昇格”できる。
「ジャンプブランドを信頼してもらえている。作家の中には複数の漫画サービスに投稿している人も多いが、少年ジャンプルーキーは編集部が直接、作品を見てくれるので安心感があると言ってもらえている」(細野氏)。作品の投稿数は、連載中の作品が話題になったタイミングなどで増える傾向にあるという。
細野氏は、現在の漫画サービスは大きく3種類に分類できると話す。1つ目が、あくまでもビジネス目的で広告によって収益を得ているサービス。2つ目が、漫画をベースに新たなエンタメを作ろうとしているサービス。具体的には「comico」などがそうだ。そして3つ目が、少年ジャンプ+のように作家の育成に力を注いでいるサービスだ。「このポジションを維持したまま成長したい。やはり、comicoとLINE マンガが2大巨頭だと思っているので、置いていかれないようにしたい」(細野氏)。
今後は、秋から年末にかけてアプリをリニューアルする予定。少年ジャンプ+は、雑誌の電子版と、電子コミック、さらにオリジナル漫画や新人発掘のルーキーなどが混在する特殊なアプリだ。そのため、それぞれの項目の使い勝手を上げるためユーザーインターフェースを整理するという。また、作品のダウンロードを早める施策や、ゲームやポイントなどの新要素も加えていきたいとした。
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