そもそも定期的に観ているテレビ番組や気になる番組は、リアルタイムでテレビで観るか、地上デジタルチューナ搭載のデジタルレコーダーなどで録画予約をしている。そのため、ガラポンTVのように全録番組を外出先で観るとなると、ほとんどが“暇つぶし”に観ることになるので、そこまで画質にこだわらず、内容がわかれば十分という感じ。また、ネットで話題になっていたり、知人や友人から教えてもらった注目の番組などは、その情報やネタ元の確認として、視聴ができれば良いので、これも画質が悪くても特に気になるものではない。
これがガラポンTV自体の使い勝手の感想。ここからは、ガラポンTV伍号機について話していきたい。
ガラポンTV伍号機の最大の特徴は、電波受信の安定と本体の熱処理の向上、「そとでもテレビ」との連携によるフルセグの録画、視聴、再生ができるようになったことの3つ。
電波受信環境は、ノイズが多い電波環境の場所でも安定して受信ができるようになったとのこと。残念ながら今回実証したのは電波の受信環境が悪くはなかったので、試すことはできなかった。
次に本体の熱処理について。「ガラポンTV四号機」は、サイズが小さく熱処理をする鉄製の底面が排熱していたため、底面が熱くなってしまっていた。熱くなると言っても、火事はおろか、手で触れても火傷などはしない程度であり、据え置き型のガラポンTVとしては起動中に底面に触れる機会も少ないため、改善する必要性は低かったのだが、伍号機では改善を施した。
伍号機は四号機よりもひと回り以上大きく、底面もほかの面と同じく樹脂で覆われている。さらにいくつもの空気穴を設けることで、自然な空気の流れにより排熱ができるようになっている。実際、フル稼働中のガラポンTV伍号機の底面を触っても、熱いと感じることはなかった。
問題は最後のフルセグ対応だ。フルセグ対応と書くと、ワンセグの全録がフルセグに切り替えられるのかと思われるが、実際は、フルセグ1ch分の録画や視聴ができるようになると言うことで、その1ch分も全録ではなく、普通に予約して録画することになる。
そのフルセグを導入するには、「そとでもテレビ」をオプションで購入する必要があり、さらにそとでもテレビはNASとしてのHDDも必要となるのだ。つまるところ、ガラポンTVとそとでもテレビの2台が必要になる。それぞれの機能は基本的にバラバラに動いているので、まったく違う機器2台が動いている印象だ。
では、どう対応するのかというと、ガラポンTVのアプリで番組を視聴した時に、今後、その番組をフルセグで予約するかの確認があり、そこから予約ができたり、視聴ができたりするようになる。この点ではアプリをいちいち切り替えずに済むので便利ではあるが、少し物足りなさを感じてしまう。
「物足りない」と感じてしまう理由は、以前にレビューした、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」の存在にほかならない。
そとでもテレビは、本体とNAS用のHDDが必要になるので、税別1万2800円の本体価格に1Tバイト HDDを加えて導入すると、2万円以上がかかる算段になる。一方、nasneは本体に1TバイトのHDDを内蔵した「CECH-ZNR2J 01」の税別価格は2万2000円になる。
金額的にそれほど差はないが、nasneはそとでもテレビよりも機能面での優位性が多々見受けられる。まず、そとでもテレビのアプリはiOS版しかないので、Androidユーザーは使えない。ガラポンTVのアプリはAndroid版も用意されているので、これはマイナス要因だろう。もちろんnasneと組み合わせるアプリ「torne」は、Androidでも使用できる。
次にそとでもテレビが地デジオンリーに対して、nasneはBSや110度CSにも対応している。ほかにもnasneはPCの専用ソフト(有料)を導入すれば、PCでも視聴ができる上、nasneの番組をPCのHDDに移したり、BDなどに書き出すこともできる。スマホに録画した番組を転送し、持ち出すことも可能だ。
その辺りを鑑みると、ガラポン伍号機の特徴の1つであるフルセグの対応はあまり考慮しなくても良い感じだ。それが無くなったところで、ガラポンTV伍号機の価値は一切下がることはない。
やはりガラポンTVの本質は、全録した番組をいつでもどこでも観られるところにある。
「昨日のマツコの話おもしろかったよ、観なかったの?」や、「昨日の9時のニュースで、○○部長が新橋で街頭インタビュー受けてたよ」など、録画するまでもないが、話題としてはついて行きたい時に、本当に便利。“ググったり”“wikiったり”する感覚で、過去に放送した番組が観られてしまうのだから。
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