ディー・エヌ・エー(DeNA)は7月7日、EasyMileと業務提携し、私有地における無人運転バスを使用した交通システム「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」を8月から運用すると発表した。
DeNAがEasyMileから車両と自動運転ソフトの提供を受け、さらに日本の行政に応じた対応や保険提供を含めたサービスをパッケージ化して提供する。
現状、日本国内では私有地のみ走行が可能なため、各種公共施設・商業施設・テーマパーク・工場などの内部における運用を想定している。
Robot Shuttleは、EasyMileが開発した自動運転車両「EZ10」(電気自動車)を利用する交通システム。車椅子を含む最大12名(着席6名、立ち乗り6名)が乗車でき、運転席はなく予め作成した地図データ上に設定したルート上をカメラ、各種センサ、GPSを用いて場所を測定しながら自動で走行する。
自車両の近くやルート上に障害物を検知した場合は、その障害物との距離に応じて自動的に減速・停車をすることで危険を回避可能だ。
同社によると、最初の事例として8月にイオンモールへの試験導入が決定。イオンモール幕張新都心に隣接し、イオンモールが千葉市から管理の一部を委託されている豊砂公園の敷地内において、 同店への来客向けに運営する。
イオンモールをはじめとするイオングループでは、地域・行政・企業などと協働で地域ごとに「地域エコシステム」の構築を推進しており、その柱の1つとなるテーマ「地域内の交通や移動の進化」の一環として、今回の試験導入が決まったという。
EasyMile CEOのジルベール・ガニェール氏は、DeNAと組んだ理由について「DeNAとEasyMileは同じビジョンを共有している。DeNAは日本でも屈指のサービス運営力がある。いままでミーティングを重ねてきたが、パートナーシップに強い企業文化がある。海外との企業提携も豊富」と説明した。
一方のディー・エヌ・エー 執行役員 オートモーティブ事業部長の中島宏氏は、2015年にオートモーティブ事業を始めるといってから、いろいろな提携の話があったとし、その中で「何度もミーティングを重ねたが、安全性を重視した考え方があった。かつ、将来の車両、ソフトウェアの改善計画も堅実。地に足のついた文化を持っているので選んだ」と応じた。
DeNAは、ゲームやECなど国内の既存事業をベースに、新たな柱の創出にも力を入れている。その一つが自動車だ。
2015年5月、自動車事業に参入すると発表。自動運転技術を活用したロボットタクシー(無人タクシー)の実現に向けて、ZMPとの合弁会社「ロボットタクシー」を立ち上げた。個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」、空いている月極や個人の駐車場を貸し借りできるサービス「akippa(アキッパ)」に投資するなど意欲的に動いている。
中島氏は、1960年代に自動車産業の発展にけん引される形で、小型車の開発など乗用車の普及や道路の拡大など文化・ニーズの変化、法律・インフラの整備などによってライフスタイル革命が起きたと振り返る。
インターネットサービスの普及や、EVの普及、自動運転技術の発展などによって激変期を迎える自動車産業は、2020年にかけて再び激変期を迎え、新たなスタイル革命をもたらすと語った。
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