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メタップス佐藤氏「産業構造を変えられる唯一の企業になる」--決済事業「SPIKE」は第2フェーズへ

藤井涼 (編集部)2016年07月01日 11時12分
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 「いろいろなFinTech企業を見てきたが、ちゃんと数字が立っているところはほとんどない。その中で私たちは(取扱高の)規模的には大きな方になってきており、業界の中核を担えているのではないか」――手数料無料の決済サービス「SPIKE(スパイク)」を運営するメタップス代表取締役CEOの佐藤航陽氏は、同サービスの位置づけをこう分析する。

 同社は7月1日、SPIKE事業を分社化することを発表した。これまでは、アプリ収益化プラットフォーム「metaps(メタップス)」をメイン事業、SPIKEをサブ事業として展開していたが、2014年4月のリリースから2年が経ち、SPIKEがmetapsと並ぶ“二本柱”と言えるまでに成長したことから、分社化によってさらに事業を加速させたい考えだ。

メタップス代表取締役CEOの佐藤航陽氏(右)とSPIKE事業統括責任者の荻原充彦氏(左)
メタップス代表取締役CEOの佐藤航陽氏(右)とSPIKE事業統括責任者の荻原充彦氏(左)

 なお、新会社を立ち上げるわけではなく、メタップスが4月に買収したオンライン決済会社ペイデザインの子会社(孫会社にあたる)である、アクティブチェックが事業を承継するという。

“第2フェーズ”に向けて足元が固まった

 SPIKEは、ウェブサイトにカード決済機能がついたリンクを設置するだけで、サイトに販売機能を追加できる決済サービス。初期費用や月額費用は無料で、月間の売上が10万円を超えると手数料が発生する仕組みを採用している。

 登録アカウント数は25万を超え、年間の取扱高は1000億円規模まで拡大しているという。個人事業主による利用が7割以上で、家電や情報サービスなど幅広い商材の販売に使われている。最近は越境ECなどで活用する事業者も増えているそうだ。また、1年前は8割近くが関東のユーザーだったが、現在はその割合が5割まで減り、全国に広がっているという。有料に移行してるユーザーも1割近くまで伸びていると推測される。

「SPIKE」
「SPIKE」

 「第2フェーズにむけて足元が固まってきた。いままでは、そもそも事業として成り立つのか疑義をかけられて、それを証明することを続けてきたが、ようやく伝わってきて、事業も一定のサイズになった。次のジャンプのタイミングだと思っている」(佐藤氏)。そこで今回、金融市場にフィットした形に分社化することで、外部の企業や機関とも連携しやすくする。

 SPIKE事業統括責任者である荻原充彦氏は、SPIKEやペイデザインでは、「ニッチなナンバーワンをたくさん作る」ことを目指しており、実際にSPIKEの顧客もイベントのチケット販売や、不動産のカード決済など多岐にわたると説明する。また、マーケティング事業も手がけている同社の強みを生かして、EC事業者の決済支援をしているほか、老舗企業の経営戦略などのコンサルティングもしているという。

経済システムの上で“実験”をする

 近年、FinTech領域には新規事業者の参入が相次ぎ、市場も盛り上がっているようにみえるが、ビジネスとして“儲かっている”サービスはまだ少ない。この点について佐藤氏は「既存の業界と新しい業界をつなげる人がいないことが問題」だと指摘する。

 「FinTechベンチャー自体に力がなく、平均で3~4億円しか資金を集められないので、そこから証券をやろうとか、既存の金融機関を買収しようという発想にはならない。一方で、金融機関は融資担当者がいきなりFinTech担当になっても意思決定できない。私たちは、省庁や銀行を巻き込んで、産業構造まで変えていきたい。そのロールモデルを作れる唯一の企業だと思っている。すでに金融庁とも話をしているが同じ認識だ」(佐藤氏)。

 同社ではSPIKEの決済を始めとする金融事業で、毎年数千億円ずつ取扱高を増やし、2020年時点で1兆円を目指したいとしている。「そこまでいくと実体経済に少しは影響を及ぼす」(佐藤氏)と考えているためだ。また、融資に加えて保険や証券などの領域にも参入していきたいと語る。

 しかし、佐藤氏の本当の目的は「構築した経済システムの上での新たな挑戦」だ。ある一定の経済規模や必要な要素が揃ったタイミングで、通貨のあり方や人の動き方について、さまざまな“実験”をしたいと話す。

 「日銀や財務省のように通貨の供給をコントロールするなど、いろいろなことを試すことで、いまのキャピタリズムのロールモデルが見えてくるかもしれない。たとえば、今回のアベノミクスはボロボロだったが、ちゃんと経済や為替の仕組みを理解していない人が決めるとそうなる。また、経済学者も実験した結果ではなく理論でしかない。(自社による)実験で、経済とはどうあるべきなのか、もっとベターなものを作れるのかを試してみたい」(佐藤氏)。

ECの決済からマーケティングまで支援

 この2日前となる6月29日には、ビカムを3.2億円で買収したことを発表した。同社はEC事業者向けに、商品データを各広告配信先の仕様に最適化する「データフィードマネジメント」技術を提供している。これにより、EC事業者はデバイスを横断した商品データの一元管理や最適な広告配信、オペレーション管理コストの削減が可能になる。現在、200社のEC事業者に導入されているという。

 買収の狙いについて佐藤氏は、「これまでアプリマーケティングや決済事業は展開していたが、商品データを持っていなかったため、それをもとにした検索やレコメンドエンジンを提供することができなかった」と説明。また、現在、metapsの顧客の約8割がゲーム事業者であることから、今後はブランドやEC事業者を増やしたいと考えており、今回の買収にいたったという。

 もともと、ビカムとは代理店契約を結んでいたが、グループ会社となることで、相互にソリューションを販売するといった密な連携が可能になるとしている。

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