不条理な駐車違反切符を切られたことに納得がいかず、取り消しを求めようにも手続きがとても面倒だと思ったことはないだろうか。そんなときに頼りになるのがチャットボット「DoNotPay」だ。DoNotPayが一役買ったおかげで、これまでに400万ドル超の罰金が取り消しになった。
DoNotPayを発明したのは、スタンフォード大学2年生のJoshua Browderさん。自身がロンドン周辺で、数カ月のうちに30回を超える違反切符を切られた経験からこのアイデアを思い立った。Browderさんが違反取り消しを申請しようとしたところ、ストレスのかからない方法で簡単に手続きできるオンラインサービスがないことが分かり、ひと夏を費やして自らシステムを作成した。
19歳の若者の手で作られたこのオンラインシステムは、自身が「世界初ロボット弁護士」と呼ぶものだ。嘆願手続きのストレスを取り除くため、このチャットボットは簡単なインターフェースを採用し、違反切符を切られた人とボット間で「チャットルーム」の設定が容易に行える。
一度登録すると、自身を弁護するための理由が12項目表示される。そこから1つ選んで、関連する項目の質問に答えると、ユーザーに代わってチャットボットが所轄の部署に提出する嘆願書を無料で作成してくれる。
このウェブサイトに人気が集まっているのは間違いない。The GuardianはDoNotPayの開発者の話として、わずか21カ月間で同サイトから嘆願書を提出した25万人のうち16万人が、ロンドンおよびニューヨークで内容が認められ、罰金が取り消しになったと伝えている。
これまでに帳消しとなった罰金の総額は推計で400万ドルに達している。
VentureBeatの取材に対し、Browderさんは次のようにコメントしている。
駐車違反切符を切られる人たちというのは、社会の中で最も損を被りやすい存在だと思う。こうした人たちは、法律違反をしようというのではない。彼らは、地方自治体の収入源として利用されていると思う。
Browderさんは、DoNotPayのサービス提供範囲を現在のロンドンとニューヨークから、秋にはシアトルにも広げたいと考えている。BrowderさんはTwitterで、「いずれサービス範囲」は南アフリカにも広げる可能性もあるとしている。
このチャットボットを使用して、フライトが4時間以上遅延した飛行機利用者向けに補償請求書を作成することも可能だ。Browderさんは、ゆくゆくはこのAIが、HIV陽性の人々が自身の権利を理解するのを手助けすることや、亡命希望者の支援に利用されるようになればよいと考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」