マネーフォワードは6月20日、中小企業向けの取り組みとして「バリューパック」「地方創生プロジェクト」「業種特化戦略」の3つの中期戦略を発表した。
MFクラウドシリーズは、企業や個人事業主のバックオフィス効率化や、経営改善をサポートするためのサービス。バリューパックでは、「MFクラウド 会計・確定申告」「MFクラウド 請求書」「MFクラウド 給与」「MFクラウド 経費」「MFクラウド マイナンバー」の5サービスをセットにしている。
料金は従業員の人数によって変動する。従業員が5人以下であれば月額3900円、6~10人であれば月額9800円、11人以降は1人あたり800円ずつ追加することで利用できる。
地方創生プロジェクトは、地方での雇用創出と人口流入を目的に、起業しやすい環境を構築することで企業数を増加させるというもの。MFクラウドシリーズを活用した創業セミナーの開催や導入支援などを実施する。また、地方自治体や商工会議所がクラウドサービスの活用を推奨することで、地域のブランディングを強化し、企業誘致につなげる狙いもある。
プロジェクト第1弾として、長崎県松浦商工会議所と福岡県北九州市と提携。業務効率化やクラウド活用などをテーマとしたセミナーを共催する。北九州市では2016年夏に、商店街においてクラウドサービス導入店舗のモデルケースを構築。これらの成功事例をもとに、商店街全体のクラウドサービスの普及を目指すとしている。
マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏は、「地方の中小企業にITが浸透しない理由として“やりかたがわからない”という問題がある。その部分を商工会議所や北九州市にバックアップしていただく」としている。クラウドサービス導入モデルの先行事例として確立し、全国に普及させるとしており、1年で20の自治体と連携する予定だ。
また、業種特化については、すでに歯科医向けに「MFクラウド会計・確定申告 for デンタルクリニック」を提供しているほか、2016年8月には飲食向けパッケージを提供予定。複数のPOSレジアプリや、仕入れ発注システムと連携できる。また、理美容向けパッケージも開発予定で、タカラベルモントのPOSシステム「SALON POS」からのデータ取得が可能となる。
不動産業界向けには、インベスターズクラウドが提供するアパート経営アプリ「TATERU」と連携し、「TATERU確定申告」を開発。また、加和太建設が提供するクラウド型賃貸不動産管理システム「ラクチンラボ」のユーザー向けに会計ソフトを開発している。これにより、ユーザーの確定申告や月々の物件ごとの収支確認がスムーズに実施できるとしている。
業種特化について辻氏は、「サービス開発するなかで、会計と言っても業種ごとに要望が違うことが分かった。1つのサービスで使えというのは作り手のエゴ」と、業種特化サービスに踏み切る理由を説明した。また、特化することによるコストバランスについては、「ユーザーの問題を解決するには業種特化しないとかゆいところに手が届かない」としつつ、「汎用性があるようにシステムを組んでいる」と述べており、効率化した上で個別パッケージを開発しているようだ。
マネーフォワードでは、MFクラウドシリーズをハブにしたバックオフィス向けエコシステムの構築を目指している。同社が得意とする会計や労務を中心としたサービス以外に、コミュニケーション、営業管理、販売促進などの業務分野に強いクラウドサービスと連携することで、企業のバックオフィス業務効率化をサポートする。
マネーフォワードでは、こうした取り組みにより、2018年中に中小企業を中心に100万ユーザーを目指す。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」