「ニケシュが一番の被害者。本当に申し訳なかったと思っている。彼が高給すぎるという声もあったが、彼は(最高幹部だった)Googleに残っていれば、ソフトバンクからもらっている報酬をそのままもらえていた。人生をかけて来てくれたのに、僕のわがままでもうちょっと社長を続けることになった」――6月22日に開かれた第36回定時株主総会で、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏はこのように思いを語った。
この前日となる6月21日、孫氏の後継者候補とされていた、代表取締役副社長のニケシュ・アローラ氏が、任期満了にともない退任することが発表された。孫氏は以前、「ニケシュが事故にでもあわない限りは、将来彼がもっとも重要な後継者候補」と公言していただけに、今回の退任発表は驚きをもって迎えられた。
アローラ氏とともに数多くのテーマに取り組む中で、孫氏は「当面はグループのトップとして指揮を執り続けたい」と思うようになっていったという。一方でアローラ氏は、「数年のうちに代わってグループのトップとして指揮を執りたい」という意向だった。こうした両者の“時間軸のずれ”を踏まえ、アローラ氏は退任を選び、次のステップに進むことにしたという。
「シリコンバレーだと60歳なんて化石のような扱い。Googleのセルゲイ・ブリンやFacebookのマーク・ザッカーバーグもまだ30~40代。友人である彼らにいつも触れていると、近々60になる人間が社長なんてやっていたら、僕自身がソフトバンクの成長を妨げてしまう。老害と言われる前に早くバトンを渡さないといけないと真剣に思っていた」と孫氏は振り返る。
60歳の誕生日にパーティを開き、そこで突然アローラ氏を後継者として紹介し、参加者を驚かせるといった演出まで考えていたという孫氏だが、「あと1年になっちゃった。ちょっと待てよ、俺は十分枯れたかなと考えると、もうちょっと社長を続けていたいという欲が出てきた。ニケシュに申し訳ないと話をして、今回の発表にいたった」と説明。最低でもあと5~10年は社長を続ける意向を示した。
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