ドイツのフランクフルトで開催された2016 International Supercomputer Conferenceで、世界最速コンピュータのランキング「TOP500」が発表された。首位は、中国で設計、製造されたプロセッサを搭載する新しいシステム「Sunway TaihuLight」。
1993年にTOP500ランキングが初めて発表されて以来初めて国別システム数で米国が首位を譲った。産業と研究の分野で導入数が劇的に増加する中、中国が167台で首位となり、米国は165台で2位だった。Sunway TaihuLightと「Tianhe-2(天河二号)」を擁する中国は性能面でも首位になった。
Sunway TaihuLightは、LINPACKベンチマークで93ペタフロップス(1ペタフロップスは毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行できる性能)を達成し、1位を獲得した。このまったく新しいスーパーコンピュータは、中国のNational Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology(NRCPC)で開発され、無錫市の国立スーパーコンピューターセンターに設置されている。6回連続で首位を獲得していたTianhe-2は2位に順位を落とした。
Sunway TaihuLightは、それぞれ4万960個のノードで構成される1064万9600個の演算コアを搭載し、競合システムを寄せ付けない圧倒的な性能を誇る。LINPACKで33.86ペタフロップスの性能を示したTianhe-2と比べて、速度は2倍、効率は3倍となる。
Sunway TaihuLightには、カスタム設計の「SW26010」プロセッサが採用されている。これらの「ShenWei」チップは「Digital Alpha」チップに非常に良く似ているとされているが、TOP500ランキングの共著者で研究者のJack Dongarra博士によると、Alphaの派生形ではないという。
「Titan」は3位だった。性能は17.59ペタフロップス。
このほか上位10には、DOEのIBM BlueGene/Qシステム「Sequoia」(17.1ペタフロップス:4位)、理研の富士通製「京」(10.51ペタフロップス:5位)、DOEのIBM BlueGene/Qシステム「Mira」(8.58ペタフロップス:6位)、DOEのCray XC40システム「Trinity」(8.1ペタフロップス:7位)、スイス国立スーパーコンピューティングセンターにあるCray XC30システム「Piz Daint」(6.3ペタフロップス:8位)、 ドイツのハイパフォーマンス計算センターにあるCray XC40システム「Hazel Hen」(5.6ペタフロップス:9位)、サウジアラビアのアブダラ国王科学技術大学(KAUST)にあるCray XC40システム「Shaheen II」(5.5ペタフロップス:10位)などが並ぶ。
Linuxがスーパーコンピューティング分野を独占している点は前回と同様だ。TOP500のシステムのうちの497台にLinuxが搭載されている。Linuxを採用していないわずか3台のスーパーコンピュータはすべてUNIXを搭載している。その中で最も高速なシステムは281位だった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果