香港では、配車アプリがタクシーサービスの品質改善に一役買っている――。
香港でのタクシー利用者は1日に約130万人。これは、公共交通機関の12%前後に当たる。日本に比べて運賃が安く、気軽に利用できる反面、荒い運転、乗車拒否、不正請求などの苦情が非常に多く、政府運輸省も大きな問題として頭を抱えている。
その現状は、2016年4月発表の「The Smiling Report 2016」からも読み取ることができる。香港は初めて「最下位」という不名誉な称号を得てしまったのだ。
このレポートは、覆面調査を行う香港ミステリー・ショッパー協会が毎年実施している調査で、世界各地の覆面調査員が店員のスマイルや挨拶などの項目について評価した結果を集計している。
香港では覆面調査員約2000人が40以上の業種を対象に4万回以上の調査を実施した。2016年の香港のスマイル指数は100点満点中48点。世界37カ国・地域の中で「最下位」となり、2015年より2ランクダウン。業種別では通信業が71点と最も高かったのに対し、最低の運輸・交通業は28点だった。
このような香港の運輸・交通業のサービスレベルを象徴する事件が、2015年10月に起きている。香港国際空港からホテルまでタクシーを利用した外国人観光客が、通常運賃の「30倍以上」の金額を請求されるという事件が発生したのだ。
被害に遭ったスイス人男性はドライバーに請求された代金8000香港ドル(日本円で10万5000円程度)を支払ったが、車を降りたあとに高過ぎると感じたためホテルの従業員に相場を問い合わせた。乗車したルートは250香港ドル(日本円で3500円程度)が相場だったため、従業員はぼったくりを疑って車を追ったが、すでに走り去った後で男性の代わりに通報した。
男性はレシートをもらわず、車のナンバーも覚えておらず、数時間後には香港を発つことから事件について追及しないと話したため、警察では交通機関への苦情として処理するにとどまった。
2014年に香港当局に届いたタクシーに対する苦情は、約2500件。タクシー運転手と乗客との証言が噛み合わず、有罪判決まで至ったケースはわずか128件だ。警察はおとり捜査をするなど摘発を強化しているが、根絶されていない状況だ。
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