こうした背景から、香港では地元タクシーは敬遠される傾向にある。サービスと態度の良い配車アプリに客が流れているのが現状だ。
香港では2013年ごろから配車アプリの需要が高まり、これまでに「HK Taxi」や「飛的」、「快的打車」、「GoGo Van」、米「Uber」、ブラジルの「Easy taxi」など、国内外のアプリが続々と参入。
このうち、2015年7月に進出したUberが最大手とされるが、今夏には中国本土の高級車配車アプリ「一号専車」も香港市場に進出する見通しで、複数のアプリが入り乱れる展開を見せている。なお、GoGo Vanは貨物の運搬を目的としたアプリだが、実際にはタクシーのように人の送迎もしているようだ。
タクシーの信頼性が問われる中、2016年5月19日、香港のタクシー会社や運転手などが設立した業界団体「香港タクシー業議会(HKTC)」は、地元業界団体として初めてタクシー配車アプリ「的士APP」の運用をスタートした。カバーするタクシーの台数は配車センター8カ所に登録する9000台。
利用者は、サービスの質を保証する誓約書に署名している「認証ドライバー」を選択できる仕組み。利用者が運転手のスキルやサービス、車内の清潔さなどについて5つ星で評点をつけるシステムも導入されている。評価が著しく低いドライバーは、サービス態度の研修参加(現在は任意)を促されることが、本アプリの大きなポイントだ。
香港内タクシードライバー約4万人のうち、認証ドライバーの数は現時点で約800人。6月中旬には、これを1500人まで増やす方針だ。また専門の委員会も設置し、寄せられた苦情を48時間以内に処理する。
アプリ利用者は、ドライバー評価を事前に把握できるため、評価の高いドライバーは指名が増えると予想されている。売上増加につながることから、ドライバーのモチベーションアップにもなると期待されている。また今回のアプリ投入は、米国発の配車アプリUberに対抗した動きとも見られている。
新たなサービスの登場によって、変化を求められる香港のタクシー業界。アプリとの顧客争奪戦激化が、業界のサービス向上を促すことは十分にあり得る。
(編集協力:岡徳之)
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