そして4月25日に公開したのが、地図を利用したライブコミュニケーションアプリ 「Pass!(パス)」。学校やサークル、職場の同僚など、クローズドなグループを作って、リアルタイムに現在地を公開しながら、「今」「どこで」「何をしている」かをつぶやいて共有できるサービスだ。
投稿された「つぶやき」はマップ上に表示されるため、グループの仲間とライトな会話を楽しめる。移動情報の公開のオンとオフも選べるが、基本的には現在地を“ダダ漏れ”にすることで、新たなコミュニケーションやビジネスが生まれることに期待していると内藤氏は話す。
すでにUberでは地図上でタクシーの位置をリアルタイムに把握できるが、これが屋台やピザのデリバリーなど、あらゆる移動情報と結びつくと、新たな経済圏を作れるのではないかという発想だ。家族のグループを作っておけば、災害の際の安否確認ツールとしても使える。
「これまでのSNSは、便利さにフォーカスして必要な時にだけ位置情報をオンにしてきたが、実はこれも時間差で位置情報をアップロードしているだけ。Pass!ではあえて自分の居場所をダダ漏れにすることで、そこがリアルタイムになっていく。自分で使ってみて最初は気持ち悪いと思ったが、すぐに慣れてしまう」(内藤氏)。
ところで、なぜ同社はシェアリングエコノミーやCtoC領域を選んだのか。この疑問に対し、内藤氏は「GoogleやFacebookが資金を投下して一気にシェアを取っていくところにいってもしょうがない。シェアリングエコノミーやCtoCは、遊休資産やデータを溜めてつなげていくサービスで、大手でも急には参入できない領域」と説明する。
内藤氏は、Facebookや口コミ・レビューサイトが浸透し、知らない相手への信用評価が可視化されるようになったことで、シェアリングエコノミーやCtoCが世間に受け入れられる土壌ができつつあると話す。また、参入したタイミングについては「先行している会社もあるが、参入時期よりもそれぞれの領域の“旬”を見極めることが重要」だとした。
「新サービスでは、2~3年後にくるトレンドを着地点として捉えている。そこが早すぎても遅すぎてもいけない。トレンドの流れを読みながらタイミングを見計らう必要がある」(内藤氏)。
同社では常に発明を産み続けるためのプロジェクトとして、「DRECOM INVENTION PROJECT(通称「DRIP」(ドリップ)」を立ち上げており、「PlanB」「Clip」「Pass!」の3サービスは同プロジェクトの一環となる。長期的な成長に期待しているため、当面はマネタイズは考えておらず、一定の成果が出たタイミングでアクセルを踏むとしている。
「何の会社と言われてもいい。大事なのは新しいものを生み続けること。(ドリコムは)もともとブログ事業をしていたが、そこからSNSの流れがきてmixiのソーシャルゲームがヒットした。いまはゲームの会社のように言われているが、これからも領域にこだわらず特大ホームランを生み出したい」(内藤氏)。
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