ソーシャルゲームやインターネット広告事業を展開するドリコムは、2016年に入り立て続けに3つの新サービスを公開した。それも、物や能力などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」領域を中心としたものだ。いずれも、同社代表取締役社長の内藤裕紀氏が発案したのだという。
シェアリングエコノミーといえば、空き部屋シェア「Airbnb」や、配車サービス「Uber」などが世界的に急成長している。日本でも場所シェアの「スペースマーケット」や家事代行の「ANYTIMES」など、徐々に参入事業者は増えているが、まだ収益で大きな成功を収めているところは見当たらない。その中で、なぜ同社は参入を決めたのか、内藤氏に聞いた。
まず、新サービスの第1弾として3月23日に公開したのが、CtoCのダイニングコンシェルジュサービス「PlanB(プランビー)」。街をよく知るコンシェルジュたちに、依頼したシチュエーションにあった飲食店を選んで、予約までしてもらえるサービスだ。実際に、そのお店に行ったことがある人が手配することで、「この席の景色がいい」「サプライズはこんな感じ」といった、要望にあった提案を受けられることが強みだという。
5月20日時点でのコンシェルジュ数は60~70人。まだサービスを開始したばかりということもありユーザーは少ないが、「子持ちの母親が授乳できるお店」といった、食べログなどでは得られない、コンシェルジュならではの提案に魅力を感じてリピートするユーザーもいるそうだ。
平均のレストラン単価は約8000円で、2~4人での利用が多い。会食、デートや記念日、家族での食事の3パターンが用途としては多いという。「正直、やってみるまで本当にお金を支払ってくれるユーザーがいるのか分からなかったが、思った以上に多かった。これまで(コンシェルジュ)が親切心で人に教えていたことが価値になっている」(内藤氏)。
一方で、昼間には予約を受け付けていない店舗も多いため対応を検討するなど、オペレーションも含めた改善を進めている。また、現在はウェブブラウザのみなので、アプリの開発も検討するとしている。
続いて4月19日に公開したのが、物々交換を身近にするCtoCアプリ「Clip(クリップ)」。スマートフォンのカメラで持ち物を撮影し、簡単な説明を記入して投稿するだけで物々交換ができるアプリだ。
交換するものは特に決められておらず、届け方は手渡しでも配送でもいい。ただし、売買機能は搭載しておらず、金銭のやり取りは禁止されている。グループ機能を使って、友人や共通の趣味の人、同じ目的の人と取引ができるほか、フォローしたユーザーの投稿アイテムを確認するといった使い方もできる。
「バレンタインとホワイトデーは、ある意味で物々交換。そういった文化はもともと日本にある」と内藤氏。サービス開始から1カ月時点で、ユーザーは地方の女性層が中心だという。物を渡す方法は「交換」「貸す」「譲る」から選べるが、現在は「交換」が最も多いそうだ。雑貨や本、洋服、家電などのやりとりが多いという。
物々交換が一般的になるまでには時間がかかりそうだが、当面はマッチングの精度などを上げていくという。また、FacebookなどSNSでつながっている友人同士で、結婚式用のスーツを貸し借りするといった利用シーンも提案したいとしている。
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