独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は6月2日、「突出したIT人材」の発掘・育成を支援する一環として、2015年度の未踏IT人材発掘・育成事業にて選ばれたクリエータ23人の中から、スーパークリエータ10人を認定した。
実施プロジェクトは、全部で8つ。UIの改良や画像認識といった機械学習を利用したプロジェクトが多く見られたほか、PC上の電子楽器をハードウェアに変換する研究、小・中学生向けのプログラミングツール、研究者のための研究ツールなど、個性的な顔ぶれだ。
東京大学名誉教授の竹内郁雄氏は、「未踏は、今まで見たことのないものを作るのが本来の趣旨。今は人材、発掘育成に重点を移している。人材育成は、どんなインフラ投資よりも重要だと思っている」と、今回の取り組みを説明。また、「今年のスーパークリエータは、未踏性、創造性、恐ろしい将来性を感じさせる」と評価した。
筑波大学大学院システム情報工学研究科に所属する青木海氏と尾崎嘉彦氏は、ビジュアルプログラミング言語「Max」でプログラミングされたソフトウェア音源を、ハードウェア上に簡単に実装できる「sigboost(シグブースト)」を開発した。
PCで実行すると、レイテンシが発生したりフリーズしてしまう、高い演算負荷のかかるソフトウェア音源の解決方法として、FPGA(設計を変更できる集積回路)が存在する。ただし、FPGAを組み込んだ楽器の開発には、論理回路設計などの難易度の高い実装がハードルとしてあった。
sigboostは、この論理回路設計を自動化するもので、アーティストなどが作成したMaxのプログラムを、簡単にFPGAに実装できる。これにより、作成したソフトウェア音源をPCレスで演奏することができる。sigboostのハードウェアには、MIDI入出力端子、6.3mmジャックなど、必要な入出力端子は備わっている。
安野貴博氏が開発するのは、ユーザーの行動を予測し、次にクリックするであろう場所へ自動でボタンにジャンプする「LIGHTNING UI」だ。これは、PCのソフトウェアの操作を円滑化できるように、ユーザーの過去ログから、操作の傾向を機械的に学習。ユーザーが次にクリックする場所を予測し、行動をアシストすることで生産性を高めることができるとしている。
現時点では、パワーポイント作成に特化しているが、PhotoshopやIllustratorなどのDTPツール、ゲームエンジンなどの複雑な階層構造を持つソフトウェアにも対応するという。2日ほどツールを使う様子を学習させることで、アシストできるようになるという。
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