スマートフォンネイティブが見ている世界

大学でネット制限--スマホがなければ何もできない若者たち - (page 2)

「スマホがなければ何もできない」子どもたち

 10代の子たちが、動画でどんなコンテンツを楽しんでいるかご存じだろうか。10代女子を対象としたプリキャンティーンズラボの「動画の視聴に関する調査」(2015年11月)によると、視聴する動画のジャンルは「ミュージックビデオ/音楽」が91.0%でトップ。続いて、「お笑い・おもしろ動画」(41.1%)、「映画・ドラマ」(40.8%)、「アニメ」(30.8%)などとなっていた。つまり、音楽を聴くためにスマートフォンで動画視聴をしているのだ。

 高校1年生女子A子は、音楽はスマートフォンでしか聴いたことがないという。「スマホが壊れたから音楽が聴けない。最悪」と言っていたので、「CDは?」と聴いたところ、「そんなの持っていない」と答えたので驚いた。基本、動画を流しながら音楽を楽しむという視聴方法をとっており、PCやタブレットを持たないA子にとっては、スマートフォンだけが音楽試聴端末となっているというわけだ。「うちでも聴けるかもしれないけど、CDを聴くための方法もよく知らない」と言っていた。

 高校1年生女子B子は、C美と喧嘩になり、LINEでブロックされてしまった。自分が悪かったと思ったB子は慌ててC美に連絡を取ろうとしたが、LINE以外連絡先を知らなかったので謝罪もできず、ブロックを解いてもらえなかったという。慌ててB子の名前で検索して、Twitterアカウントを見つけ、そちらで謝罪してLINEのブロックを解いてもらった。スマートフォンどころかSNSだけでつながっているため、1つが使えなくなると連絡ができなくなる例だ。

 B子はメールをほとんど使ったことがないため、自分のメールアドレスを知らなかった。「スマホを見れば分かるけど」という答えが印象的だった。B子のような例は特別ではない。固定電話から電話をかけていた時代は、何度もかける電話番号は暗記していたものだが、現在はスマートフォンの電話帳から呼び出してかけるため覚えていない人は多い。B子のように、「自分のメールアドレスは覚えていない」という学生も少なくないようだ。

 大学1年生女子D乃は、「デジタルデトックス」をテーマにした記事を読み、スマートフォンを置いて紙の地図を持って外出してみた。その時、自分が地図がろくに読めないことに気がついて愕然としたという。「これまでGPSに頼って歩いていただけだった。スマホがなければ地図も読めないし、どこにもたどり着けないと思った」。

スマホ以外の手段や経験も大切

 今の若者たちは、写真の撮り方がうまくなり、動画撮影がうまくなった。スマートフォンによって伸びた面は確かにある。しかし、逆にスマートフォンがなければ何もできなくなったり、スマートフォン以外の手段を知らない、スマートフォン以外の利用経験がないなどの問題が目立つようになってきた。

 スマートフォンは確かに便利で何でもできてしまう。しかし、それ以外の手段も知り、使いこなす必要があるのではないか。少なくとも、スマートフォンがなければ何もできない状態は避けるべきだろう。周囲の大人たちは、若者たちにスマートフォン以外の手段を使う機会を意識的に与えてあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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