同社では、このTATERU kitを民泊に活用する。Qrio Smart Lockによって特定の時間だけ宿泊者のスマートフォンで鍵の開け閉めを可能にすることで、直接会って鍵を受け渡す必要がなく、入退室管理も容易になる。また、TATERU kitに観光情報を表示したり、外国人サポートデスクにつないだりすることが可能だ。
これに加えて、3月には民泊完全代行サービス「tateru bnb(タテルビーアンドビー)」を開始した。日本の民泊基準を満たした物件をもつオーナーの、民泊経営に必要なすべての業務を代行するサービスだ。その内容は、民泊向けのリノベーションから許認可申請サポート、オペレーターによる多言語サポート、民泊予約サイトへの登録代行、鍵の受け渡しや清掃などの運用代行、レビューやトラブル対応など幅広い。
当初は同社の1事業として開始したが、想定以上に引き合いがあることから、6月から新会社i Vacationを設立して民泊事業を独立させることを5月20日に発表。それにあわせて、旅行者と家主をマッチングさせるプラットフォーム事業にも参入することを発表した。
5月23日には、オフショア開発などで知られるエボラブルアジアと提携し、民泊の宿泊予約だけでなく、観光地への交通手段や、交通ルートの提案、さらにオンライン予約ができるサービスを開発することも明らかにした。
民泊やIoTはいま特に旬なテーマだが、その一方で「本当に収益化できるのか」という疑問も湧く。その点について、インベスターズクラウド代表取締役の古木大咲氏は、「基本的には儲からないことはやらない」と言い切る。
同社では、メイン事業であるアパート経営サービス「TATERU」を軸に、アパートのオーナーや入居者に付加価値を提供していく方針だ。たとえば、2015年12月にはリノベーションサービス「スマリノ」、2016年4月には10万円から投資できる不動産投資型クラウドファンディング「TATERU FUNDING」を開始しているが、いずれも出足は好調だという。現在約9万人いるアパートオーナーから中心に新サービスを提案することで、浸透しやすいことも強みだ。
「シナジー効果が出せる領域を中心に広げている。スマリノは受注が好調で、業績もセグメント分けしていくところ。クラウドファンディングは、リリースから10日でメール会員が260件を超えており、順調に資金も集まっている。また、ここに投資した方たちはリアルのアパート経営にステップアップする。TATERU kitについても我々は年間4000部屋作っており、ここに順次導入していく」(古木氏)。
これまでも「ネット×リアル」を軸に、O2Oビジネスを手がけてきたインベスターズクラウド。最近は、不動産ではなくシェアリングエコノミーの側面で、海外の機関投資家から評価される機会も増えていることから、新領域でさらに存在感を高めていきたいとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのBioSHADOWが誘う
心地良い室内空間のつくりかた