ディー・エヌ・エー(DeNA)は8月7日、2016年3月期通期の連結決算を発表した。売上収益は1437億900万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は198億1600万円(同20.0%減)、最終利益は113億2500万円(同24.2%減)で増収減益。四半期(第4四半期)ベースでは売上収益が350億円(前四半期比3%増)、営業利益が51億円(同55%増)と増収増益となった。
主力となっているゲーム事業について、国内外におけるアプリでのコイン消費額は178億コインで、前四半期から7億コイン増で増加傾向となっている。
国内におけるゲーム事業について、コイン消費額は363億コインと前四半期から21億コイン減少し、営業損益も85億円で2億円減と減少しているものの、この第1四半期は新規タイトルの投入もあり、営業損益で90億円を見込むなど増加の見通しを立てている。海外のゲーム事業については、コイン消費額が43億コインと横ばい状態が続き、営業損益は5億円の赤字と、前四半期11億円の赤字から改善している。
またEC事業の売上収益は52億円と前四半期から4億円増加。特にDeNAトラベルは、2015年度の取扱高が502億円で、前期比26%増となるなど成長が加速している。
2016年度について、基本的にはゲーム事業における競争優位性の構築を優先しつつ、新規事業の成長を加速させる投資、中長期視点での新たな柱となる事業の創出に向け挑戦していくとした。
国内のゲーム事業においては、既存の主力タイトルを運用による収益規模の維持や拡大をしながら、新規タイトルを継続的に投入。4月に配信を開始した「ONE PIECE サウザンドストーム」は、アプリ売り上げランキングのトップ10に入るほどの立ち上がりを見せ、「『ファイナルファンタジーレコードキーパー』以来のヒットタイトル」と、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏は自信を見せた。またIPの力もさることながら、これまでさまざまなゲーム開発や運用で積み上げてきたノウハウを活用できていることも付け加えた。このほかにもトップ100を維持しているタイトルに加え、新規タイトルも入ってくるようになり、長期的に収益貢献ができるタイトル層も厚みを増しているという。
海外のゲーム事業については、まず中国では有力IPを中心に展開。欧米では収支管理を徹底しながら第1四半期以降に複数の新規タイトルを投入予定としている。
任天堂との協業施策については、3月にゲームアプリ第1弾タイトルとなる「Miitomo」の配信を開始。配信1カ月で世界1000万ダウンロードを突破するなど順調なスタートを切ったことに触れ、守安氏は「任天堂のブランド力の強さだけではなく、UIやUX、サウンドなど、任天堂らしさが出せている。スマートフォンでも任天堂らしさが十分通用する感覚を持った」と語る。すでに2016年秋には「ファイアーエムブレム」と「どうぶつの森」を配信予定としているほか、さらなる新作を準備中。2016年度までに5本程度展開するという方針には変わりがなく、規模感については明言しなかったものの、2016年度からの収益貢献を想定しているという。
新規事業については、サービスごとのフェーズに応じて収益化の施策や成長に向けた投資を行っていく。マンガボックスなどのIP創出プラットフォームについては黒字を維持しつつ、ゲーム事業とのシナジーを狙っていく。
また2016年度では、MERYやiemo、Find Travelを初めとしたキュレーションプラットフォーム事業が利用者数や売上収益が順調に増加していることを説明。ノウハウを横展開することによって多ジャンルでサービスを立ち上げ、なかにはMERYを上回るペースで成長しているものもあるという。当面は広告による収益で、2017年度中には四半期利益で10億円以上を目指すとともに、その後の収益手段の多層化も検討していくという。
2017年度3月期の業績予想について、通期予想は開示せず、第1四半期は売上収益を382億円(前年同期比1.3%増)、営業利益は66億円(同64.7%増)、最終利益は49億円(同139.1%増)を見込む。
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