ディー・エヌ・エー(DeNA)は2月5日、2015年度第3四半期の連結決算を発表した。売上収益は338億円で前四半期比9%減、営業利益は33億円で同55%減となり、第2四半期に対して減収減益となった。通期業績見通しは、営業収益が前期比1%増の1437億円、営業利益は前期比20%減の199億円を見込んでいる。
事業別にみると、ゲーム事業では、全デバイスにおける国内のゲームコイン消費は384億円、海外を含むスマートフォン向けアプリコインの消費は171億円となり、前年同期から堅調に推移。なかでも、サードパーティゲームの中でCygamesが提供する『グランブルーファンタジー』がアプリゲーム、ブラウザゲームともに好調に推移しているという。
EC事業については、営業収益は48億円で第2四半期の49億円からほぼ横ばい。取扱高では、ショッピング分野では横ばいで推移している一方、DeNAトラベルは対前年比で23%の成長で推移しており、オンライン航空券の価格競争力が取扱高の拡大につながっているという。
代表取締役社長兼CEOの守安功氏は、「季節性の高いスポーツ事業などを考慮すると、収益はほぼ横ばいで推移している。ゲームのコイン消費、営業利益は想定を上回った。コスト面ではゲームの新規タイトル投入やサードパーティゲームのマーケティング強化、キュレーションメディア『MERY』の事業拡大などにともない、販促費、広告費を予定より多く投資した」と説明。本業と言えるゲーム事業が堅調に推移している点をアピールした。
守安氏は決算報告に続いて、中期事業戦略の進捗について説明。この中期事業戦略は、国内ゲーム事業の安定運営、海外ゲーム事業の収支改善(赤字の抑制)、任天堂との協業、新規事業による収益の創出という4つの柱で利益の下げ止めと再成長を目指すシナリオだ。
個別にみると、国内ゲーム事業については、サードパーティゲームによるコイン消費が第2四半期を境に増加に転じ、四半期利益も90億円前後で底堅くなってきているという。また、力を入れている内製タイトル、他社IPとの協業タイトルについては、「収益が読めるようになってきた。今後の投入予定を踏まえてもある程度のヒット作品は生み出していけるのではないか」とコメント。今年投入を予定している人気アニメ『ワンピース』との協業タイトルに期待を示した。
また守安氏は「アプリゲームのヒットタイトルは投入してそれほど時間が経っていない。人的リソースなどを投入してもう一段成長させることが可能だ」と語り、『ガンダムバトルロワイヤル』や『ファイナルファンタジーレコードキーパー』といったヒットタイトルにも、さらに力を入れていく方針を示した。
海外ゲーム事業については、中国、欧米ともにゲームコイン消費は横ばい。ただ、中国で提供が開始された『ガンダムカードコレクション』が堅調にスタートし、第4四半期にはコイン消費、営業損益ともに改善が見込まれるという。全体の営業損益では赤字が続いているが、中国市場における新規大型タイトルの投入と収支管理によって、赤字解消を目指したい考えだ。
そして、スマホアプリ『Miitomo』と会員サービス『My Nintendo』から始まる予定の任天堂との協業について、守安氏は「準備は順調に進んでいる。当初のプランに変更はない」とコメント。Miitomoは、2月17日に事前登録を開始し、3月中旬に日本国内で提供開始。3月中には、欧米の8言語16か国でのサービス展開を予定しているという。また、My NintendoもMiitomoと同時期に正式運用を開始し、9言語39カ国で展開する予定だ。
新規事業のうち、キュレーションプラットフォーム事業については、月間利用者数が全体で5000万人を超え、広告売上が順調に立ち上がったことで事業売上も堅調に推移しているという。なかでも、女性向けファッション分野の『MERY』、インテリア分野の『iemo』、旅行分野の『Find Travel』はそれぞれの分野を代表するサービスに成長しており、中期的にみて新たな事業の柱になることが期待されているという。営業体制を強化して収益を拡大させたい考えだ。
守安氏は、昨年12月からテレビCMを展開して拡大を図っているMERYについて、月間利用者数がファッションに関心の高い20代、30代の女性を中心に2000万人まで成長した点や、昨年提供を開始したスマホアプリへの移行と日次利用者数、記事閲覧数の増加が堅調に推移している点などを紹介。その上で「ターゲティングが明確なため広告価値の高いメディアになる。それだけでなく、コマース、課金ビジネス、美容分野でのサービス連携など複合的に売り上げを伸ばしていきたい」と語り、収益増に期待を寄せた。
なおキュレーションプラットフォーム事業は現在、M&Aによって買収したメディアと内製メディアを合わせて10メディアで展開しているが、今後も成長が見込まれる事業に対しては投資・買収を検討していきたいとしている。
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