UPDATE Facebookがアルゴリズムを操作してユーザーの感情をテストしたり、投票を促したりしていることはすでに知られている。そして今度は、最高経営責任者(CEO)Mark Zuckerberg氏率いる同社のチームが、ユーザーの政治的見解に影響を及ぼそうとしたとの指摘が上がっている。
技術系ブログGizmodoの2つの記事が報じたところによると、Facebookが一部の国で提供しているトレンドトピックのリストは、同社スタッフが自分たちの政治的見解をユーザーに広めるためのツールになっていた可能性があるという。リストが表示されるFacebookサイトの上部右側は、インターネットで最も人々の注目を集める場所の1つだ。
Facebook社内で「ニュースキュレーター」と呼ばれるチームは、政治的に保守的なニュース媒体の記事を排除するよう指示を受けていた、とGizmodoは報じている。これはすなわち、「Breitbart News」「The Washington Examiner」などのニュース媒体の記事はトレンドトピックから外すか表示順位を下げ、「The New York Times」「The Wall Street Journal」などのより伝統的な媒体を優先させることを意味する。また、米大統領選で共和党の元候補者だったMitt Romney氏など、保守派の大物コメンテーターや政治家に関する記事もリストから排除されていたことを、Gizmodoは匿名の元ニュースキュレーターの談話として報じている。
Facebookはこのような疑惑を「非常に深刻に」受け止めており、「レビューチームの一貫性と中立性を保つために厳密なガイドライン」を設けていると述べている。しかし、Gizmodoの記事に関してはただちにコメントを出しておらず、またこうした問題を避けるためにガイドライン以外の方策をとっているかどうかについても回答していない。
今回のFacebookをめぐる疑惑は、Facebookの世界的な影響力と、その影響力を同社従業員が行使する手段について懸念が高まるなかで持ち上がった。今回の件について、トレンドトピックの説明の記述には従業員が関与していると同社は説明しているが、これまで「トレンド」になっているニュースの選択はコンピュータアルゴリズムに基づいて決定されており、同社の政治的傾向を反映しているものではないと考えられていた。
Facebookは政府や政治家が市民とつながるための場所として、今や政治およびメディアの強力な発信基地となっている。また報道機関にとっては、記事の人気を高めるための重要な媒体となっている。
しかし、Facebookの従業員がユーザーのニュースフィードを操作して、ユーザーが感情的にどう反応するかを見たり、ユーザーが投票に行くよう促したりしているのだとすれば、人と人をつなぐ中立的なソースとして「共有を支援し、世界をよりオープンでつながったものにする」ことをミッションに掲げるFacebookの信頼性に疑問が生じる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」