仮想現実(VR)に興味を示すサムスンやFacebook、そして、その他ほとんどの企業の話を聞く限り、2016年は同技術の普及が本格化する年だ。
しかし、そうならない可能性がある。少なくともUnityの最高経営責任者(CEO)John Riccitiello氏はそう考えている。Unityは、アプリや「Superhot」「Homeworld: Deserts of Kharak」といったゲームの開発を支援するツールを提供する企業だ。Riccitiello氏は、「業界の成長は緩やかに始まる」と考えている。ただし、最終的には、多くの専門家が予測しているよりも大きくなると信じている。
Riccitiello氏は米国時間4月28日、「2016年はダクトテープ(中略)の年だ」とサンフランシスコで開催されたサムスンの開発者会議における基調講演で述べた。2016年末にはVRおよび拡張現実(AR:仮想アイテムを実世界の上に重ねて表示する)が「勢いを失っている」と評されるようになるとRiccitiello氏は予想する。
Riccitiello氏は「あまりにも誇大に宣伝し過ぎた」と述べた。「2016年と2017年で期待外れのギャップが現実化する」(Riccitiello氏)
VRを最も盛んに宣伝している企業の1つにサムスンがある。同社は4月末、サンフランシスコのダウンタウンにあるモスコーンセンターで開発者会議を開催した。モスコーンセンターはAppleが6月に同社の開発者会議を開催するのと同じ会場である。サムスンの開発者会議の1つの大きな目的は、99ドルで提供される同社「Gear VR」ヘッドセット向けのソフトウェア開発を促すことにある。同ヘッドセットは、ハイエンドのサムスン製スマートフォンを利用する。
VRがどれだけ人気を集めるかは誰にもはっきりと分からない。コンサルティング企業Analysis Groupは2月、仮想現実および拡張現実の2020年までの世界売上高は合計28億~1260億ドルの間になると見積もった。これは、タイプミスではない。この非常に大きな予想レンジは、この技術によって何が起きるかを誰も本当に把握していないということを示している。
しかし、多くの企業がVRに大きく賭けている。サムスン、HTC、Facebook傘下のOculus、Google、そしてソニーなど大手企業のほとんどがVRヘッドセットを投入しているか、開発を進めている。AppleのCEOであるTim Cook氏でさえ仮想現実を「非常にクール」だと述べている。
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