「John Doe」という仮名を名乗る人物が、世界各地で行われている企業の租税回避の詳細を記した1150万件に及ぶ文書をリークしたが、その正体は依然として明かされていない。
しかし、米国時間5月6日、なぜこの人物がこれらの文書をリークしたのかを知る手がかりが、わずかながら明らかになった。これらの文書は、パナマの法律事務所Mossack Fonsecaから漏えいした情報であることから、「パナマ文書」と呼ばれている。
この情報提供者は、書面による声明を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)とドイツの新聞社Suddeutsche Zeitungに提供した。この2つの報道機関は、今回の機密文書の分析および報道で先陣を切った。
「Doe」氏は、世界中で持てる者と持たざる者の所得格差が「数多くのスピーチや統計的な分析、少数の抗議運動、そしてときにはドキュメンタリー」にもかかわらず拡大している理由を明らかにする必要があると、1800語に及ぶ声明で述べた。
「Doe」氏は、こうした説明に加えて、法律事務所などの組織は、広範な不正行為に関する情報を隠ぺいできなくなるだろうと記している。
「Doe」氏は、「われわれは、国境を越えて利用できる安価で無尽蔵のデジタルストレージと高速インターネットの時代に生きている」とした。「点と点を結ぶ作業に、あまり多くの時間や労力はかからない。グローバルなメディア配信から始まり、次の革命は終始、デジタル化されたものになるだろう」(「Doe」氏)
パナマ文書は既に、広範な影響を及ぼしている。同文書に基づく新たな報道により、政治家や富裕層が海外口座(政府による課税や金融当局のチェックの対象外となる)に資金を隠してきた仕組みにスポットライトが当てられ、多くの著名なリーダーらが次々にその報いを受けざるを得なくなっている。既に、アイスランドのSigmundur David Gunnlaugsson首相が辞任したほか、英国ではDavid Cameron首相が国民の批判と抗議にさらされており、ロシアのVladimir Putin大統領は、自身の政権を不安定化させることが目的だとして、ジャーナリストらを非難した。
ICIJは、オフショア企業に関する情報20万件以上からなる検索可能な情報データベースを、一般の人々が検索できるようにオンラインで公開する準備を進めており、匿名の情報提供者による今回の声明はそうした中で公表された。ICIJは4月、同データベースが5月9日から利用可能になると、声明で述べていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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