スマートフォンを中心に、オムニチャネルやIoTなど次世代テクノロジを通じて生み出されるデジタルマーケティング戦略。そこにはアイデアやクリエイティビティが不可欠だが、それだけでは「これまでになかった体験」を提供することはできない。ユーザーに新たなエクスペリエンスを届けるために、欠かせない普遍性や本質とは何か。
この連載では、デジタルを活用したコミュニケーション施策を発信する「コードアワード」に寄せられた作品から、デジタルマーケティングの「未来」を拓く“ヒント”をお届けする。
カケザンのクリエーティブプランナー・新野文健氏による受賞作品インタビュー。前編では、「コードアワード2015」のベスト・イフェクティブ賞に輝いた、真実の愛を試すブラジャー「TRUE LOVE TESTER」の制作チームに誕生秘話を聞いた。
後編では、制作チームで企画・プランニングを担当したTEAM PIRATESのクリエイティブディレクター 中島寛文氏と杉山元規氏、プロデューサーのkichi 髙橋 聡氏、デバイス開発を担当したライゾマティクスのテクニカルディレクター 清水啓太郎氏と鴨井世友氏に、現在の活動や技術的に注目しているトレンドを聞いた。
――このチームで再び集まったのは、今回の取材が1年以上ぶりとのことですが、現在の皆さんの活動や技術的に注目しているトレンドがあれば教えてください。
杉山氏::僕はこのTRUE LOVE TESTERの制作後の約1年前からLAにいて、1カ月前に帰国してきたばかりなんです。向こうでもVRはトレンドになっていて、いろいろな会社が売り込んできていました。そのとき、皆が言っていたのは「VRのヘッドセットがコンタクトレンズみたいになったらいいのにね」ということです。
今みたいな大きな装置をつけるのも楽しいけれど、もっと小さく身につけられるようなものになったらいいのにねと。僕もそう思います。
清水氏:VRに関して言うと、真鍋(ライゾマティクス取締役 真鍋大度)を中心とした、ライゾマティクス リサーチのメンバーが、VRを使って「border」という体験型インスタレーションを制作しました。
何年か前にも一度VRブームがきたときは、コンテンツが追いつかなくて廃れかけたんですけど、今回ライゾマティクス リサーチの真鍋を中心とするチームがトライしたのは、体験者のフィジカルな動きを電動車椅子で完全に制御し、体に感じる重力と視界と音の世界をすべてハッキングして、シンクロさせる体験づくりです。そこまでやると、完全に脳みそが騙されるんですよ。これが将来、進化していったらどんな世界になるんだろうと考えてしまうような、今までに経験したことのない作品です。
髙橋氏:VRはまだコンテンツを撮影するための撮影環境や編集環境が追いついていないことがネックですよね。「border」のようなデジタルの世界観では完璧に作り込めるけれど、実写だとまだ技術的な問題が多くあります。映像屋の目線からすると「残念だな」と思う体験はまだとても多いですね。
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