個人スキルを“1日”で売買できる「ランサーズストア」--似顔絵、楽曲作成、子育て相談

 クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を運営するランサーズは4月19日、個人のスキルを気軽に売買できるECマーケット「ランサーズストア」を開設した。ユーザーがスキルを生かしたサービスを出品し、利用したい相手が購入するサービスだ。基本的には1日(24時間)で納品される。

個人スキルのECマーケット「ランサーズストア」
個人スキルのECマーケット「ランサーズストア」

 出品できるサービスとしては、SNSの似顔絵アイコン作成や、1日カメラマン、楽曲作成、育児相談など。中には現代美術購入のアドバイスといったユニークなものもある。出品価格は1000円~5万円まで自由に設定できる。たとえば、写真のレタッチは3000円、LINEスタンプのキャラクターデザインは1万円、暮らしの法律相談(相続・離婚・契約)は5000円で出品されている。出品手数料は無料で、成約時にサービス価格の20%の料金が発生する仕組みだ。

出品されているサービス
出品されているサービス

 これまでクラウドソーシングのランサーズでは、フリーランスがクライアントの依頼や要望に合わせて提案し、要件定義をしたうえで仕事が始まるため、アプリ開発など時間のかかる仕事には向いていたが、1日で完了するような簡易的な仕事には向いていなかったと、ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏は話す。

 実はこれまでも、隠れメニューとしてそうしたニーズに応えるサービスは提供していたが、多くのユーザーに需要があると判断し、よりカジュアルに個人のスキルを売買できるランサーズストアを別途開設することにしたという。今後は、ランサーズとランサーズストアで、それぞれに適した顧客を獲得したい考えだ。

強みはクラウドソーシングではなく「ビッグデータ」

 マクロミルの調査によると、日本のフリーランスは2015年の913万人から、2016年は1064万人と17%増加しているという。その一方で、約半数が「収入がなかなか安定しない」と感じているようだ。実際にブログ記事などを1本数百円という単価で依頼する案件もあり、価格破壊を起こしていると指摘されることもある。

約半数が「収入がなかなか安定しない」と回答(マクロミル調べ)
約半数が「収入がなかなか安定しない」と回答(マクロミル調べ)

 秋好氏は、ランサーズでも低単価な案件があることは認める。ただし、同社が導入支援から納品までサポートするディレクションサービスなどを開始したことで、「単価が圧倒的に上がり、これまで参加することのなかったようなフリーランスの方にも利用してもらえるようになった」と話す。クラウドソーシング事業での単月黒字化も達成した。

 今後は副業でクラウドソーシングを活用する人も増えると考えており、まだまだ市場の伸びしろはあるとみている。3月にはPCスクール「アビバアットホーム」「アビバキッズ」などの教室フランチャイズ事業を展開するグローバルキャストと提携し、スキルを生かして在宅で働きたい個人やフリーランス向けの教育プログラムを全国150カ所で開始。また、地方での活用も促進するため、奄美大島や横須賀など各地の自治体との連携を進めている。

ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏
ランサーズ代表取締役の秋好陽介氏

 同社は3月末に、メールマガジンを配信するだけでオウンドメディアを構築できるEC事業者向けの無料サービス「Propag(プロパグ)」を公開しており、1カ月を待たずにランサーズストアを開始している。秋好氏は、今後はクラウドソーシングサービスで蓄積してきたビッグデータを活用した、さまざまなサービスを横展開していきたいと語る。

 「我々の強みはクラウドソーシングではなく、個人のビッグデータを持っていること。1つの案件だけでも10人以上が提案し、100件以上のメッセージが飛び交う。こうした深いデータがあるから、Propagやストアも立ち上げることができた。今後は、蓄積している数億、数十億のデータを活用して、より大きな進化をしていきたい」(秋好氏)。

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