「日本ブランド」が効かない?--インド進出が難しい3つの理由 - (page 2)

佐々木誠(マイクロアド・インディア代表)2016年04月19日 08時00分

課題を解決するにはどうすべきか?

 では、これらの課題を解決するにはどうすれば良いのか。

 まず、1つ目の「進出の方法」の有効な手段としては、日系他社との提携やサービスの利用が挙げられる。すでに現地にビジネスネットワークを持つ日系企業とであれば独資のデメリットの多くを回避でき、かつ言語や価値観などによる齟齬をきたす心配もない。実際に韓国メーカー3社(サムスン、ヒュンダイ、LG)は連携しながらビジネス展開していると聞いたことがある。

 2つ目は「販売チャネル」の問題だが、急激に成長してきているEコマースを使う手がある。思いのほかインドは物流が発展してきており、安い配送費で全国配送が可能である。

 マイクロアド・インディアが最近リリースした越境ECパッケージでは、輸入業務、販売業務、倉庫保管、個人宅への配送業務、EC構築や集客、CRM施策までを一括で提供しており、インドに進出する敷居を大きく下げている。少なくとも進出初期においては実店舗販売に伴う種々のコストやリスクを減らすことが可能である。

 3つ目は、「日本ブランドをどう作っていくか」という問題だが、これには時間がかかる。まずはお互いの文化の理解である。手っ取り早いのが訪日旅行であるが、インドからの訪日者は年間たったの10万人である。私もインド人を連れて訪日したことがあるが、ベジタリアン料理を出すレストランが見つからなくて苦労した。まだまだ改善の余地がある。

 そして日系企業のインド進出の増加も期待したい。特に普段の生活で接触する生活消費財メーカーの進出を心待ちにしている。

 インド市場が注目されるようになって久しいが、日系企業においては未だ黎明期である。一方で、これまで苦しんできた問題に対する解決策もいくつか見え始めている。日系企業は今後、この人口13億人のマーケットを決して無視することはできないだろう。

佐々木誠

マイクロアド・インディア 代表。2012年よりインド・デリー在住。
大学卒業後、商社に勤務後、2000年にサイバーエージェントに入社。
ネット広告事業に営業担当として携わり、「Ameba」の立ち上げや新規事業にも参画。
2012年マイクロアド・インディア代表に就任後、ディスプレイ広告の配信プラットフォーム「MicroAd BLADE」を主力サービスとしてインド企業や日系企業を開拓中。

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