パナソニックは、アナログレコードプレーヤー「SL-1200GAE」の予約販売受付開始日となる4月12日、レコード盤製造を手掛ける東洋化成、レコード針の開発、製造をするナガオカ、テクニクスの3社によるコラボレーション企画「レコード再発見プロジェクト」の発足会を開催した。
SL-1200GAEは、2010年まで生産され、DJユースとしても高い人気を誇り、累計で350万台以上を販売した「SL-1200」シリーズの新製品。一度は開発、生産が中止されたが、新生テクニクスを受け、今回数量限定モデルとして復活することが3月に発表された。発売は6月24日で、税別価格は33万円。世界で1200台が生産され、日本分は300台のみ。4月12日の予約受付初日はかなりの混雑が予想されていたが、開始から約30分で完売したという。
ここ数年アナログレコード人気が復活してきており、アナログレコード市場は2005~2006年を底に、過去10年は右肩上がりで拡大。人気アーティストが限定盤としてアナログレコードを発売する動きもあり、生産金額も上昇傾向にある。ソニーが3月に発表したアナログレコードプレーヤー「PS-HX500」も、予約受付の段階から、生産が追いつかず、供給不足になっている。SL-1200GAE完売の事実もそうしたアナログレコード人気を裏付けた形となった。
人気復活の追い風を受け発足した、レコード再発見プロジェクトは、日本に本社と製造ラインを置き、“Made in Japan”を実践する、東洋化成、ナガオカ、テクニクスによるプロジェクト。ウェブサイト「Record Rediscover Project」を開設し、レコードの楽しみ方などを提案していくほか、音楽鑑賞推進イベントを実施していくという。
ナガオカの技術アドバイザーである寺村博氏は、SL-1200GAEにも採用しているカートリッジ「MP-500」を「現在の最高級モデル。20kHzくらいまでフラットに伸びる特性を持っており、音楽ジャンルを選ばず使っていただける」とコメント。日本で唯一のレコードプレス工場である東洋化成のレコード事業部カッティングエンジニアの西谷俊介氏は「自社工場にカッティングルームを併設し、レコードの1枚目となるラッカー盤ディスクとプレスするレコード盤の音の仕上がりを考慮してカッティングするように心がけている。一貫製造することで、トラブルにも素早く対応できる」とレコード盤生産の現場を伝えた。
パナソニックコンシューマー・マーケティング・ジャパン本部テクニクス担当の伊部哲史氏は「SL-1200GAEは、部品を見直し、すべてを再設計して作り上げたモデル。ダイレクトドライブ方式の欠点とされていたコギングの回転ムラを解決し、よりなめらかに仕上げることができた。今回の3社コラボを通じて、日本全国にレコード再発見を伝えていけるような活動を続けていきたい」と今後について話した。
会場では、ピアニストのアリス=紗良・オットさん、オーディオ評論家でロックミュージシャンの和田博巳さん、音楽評論家の藤本国彦さんらが登場し、好きなレコードをかけるトークショーを開催。和田博巳さんは、自らベースを担当していたロックバンド「はちみつぱい」の楽曲をセレクトしたほか、藤本国彦さんはビートルズのオリジナル盤から「Come Together」と「Strawberry Fields Forever」、アリス=紗良・オットさんは、今回特別に制作されたSL-1200GAEのオリジナルレコードから自らのピアノ曲を掛けた。
和田博巳さんは、30分で完売したことについて「もっとたくさん作ってくれれば買えたかもしれない。秋にはレギュラーバージョンが発売される話もあり、それに大いに期待している」とコメントした。
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